三銃士(読み)サンジュウシ(英語表記)Les trois mousquetaires

デジタル大辞泉 「三銃士」の意味・読み・例文・類語

さんじゅうし【三銃士】

原題、〈フランスLes Trois Mousquetaires大デュマの冒険歴史小説。1844年刊。ルイ13世時代を背景に、青年ダルタニアンとその友人の三銃士、アトス・ポルトス・アラミス活躍を描く。「二〇年後」「ブラジュロンヌ子爵」とともに「ダルタニアン物語三部作を構成。

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精選版 日本国語大辞典 「三銃士」の意味・読み・例文・類語

さんじゅうし【三銃士】

  1. ( 原題[フランス語] Les Trois Mousquetaires ) 長編歴史小説アレクサンドル=デュマ(父)作。一八四四年発表。ルイ一三世の代、堅い友情で結ばれたダルタニアンと近衛の三銃士、アトス、ポルトス、アラミスが、リシュリュー枢機官やミレディの策略・陰謀と戦ったすえ勝利を得るという筋。「二〇年後」「ブラジュロンヌ子爵」とともに三部作を成す。

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改訂新版 世界大百科事典 「三銃士」の意味・わかりやすい解説

三銃士 (さんじゅうし)
Les trois mousquetaires

フランスの作家デュマ(父)の歴史小説。1844年作。オーギュスト・マケの協力を得て,クルティス・ド・サンドラの《国王の銃士隊副隊長ダルタニャン氏の回想録》(1700)をもとに書いたものである。1842年から43年にかけて,《デバ》紙に連載された最初の新聞小説シューの《パリの秘密》がおびただしい数の読者を集めたので,競争紙である《シエークル》は,当代随一の人気作家デュマに高額の原稿料で執筆を依頼し,予期したとおり空前の大成功を収めた。17世紀フランス絶対王政確立期に舞台をとり,性格のまったく異なる三銃士,アトス,ポルトス,アラミスと,勇敢にして天真爛漫なダルタニャンが,王妃のために献身的にリシュリュー枢機卿とたたかう波乱万丈の物語である。この作品が引き起こした反響があまりにも大きかったので,デュマはその続編である《20年後》(1845),有名な《鉄仮面》を含む《ブラジュロンヌ子爵》(1848)を書き,ルイ14世の親政初期までの17世紀絵巻を完成させた。デュマの作品は,日本明治のかなり早い時期から翻訳・翻案されているが,前田曙山の《落花の舞》の中で,新選組の近藤勇芹沢鴨,土方歳三が上洛するくだりは,この《三銃士》を下敷きにしたといわれている。

 なお,銃士とは,マスケット銃を装備している兵士のことであるが,一般には,1622年にルイ13世が創設し,短筒の小銃で武装させた貴族の近衛兵を指す。デュマの《三銃士》があまりにも有名になったので,フランスでは,何かの分野で目覚ましい活躍をした3人ないし4人を,日本語で〈四天王〉というように,〈三銃士〉とか〈四銃士〉と呼ぶ。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三銃士」の意味・わかりやすい解説

三銃士
さんじゅうし
Les Trois Mousquetaires

フランスの作家アレクサンドル・デュマ(大デュマ)の長編冒険小説。1844年3~7月、新聞『世紀』に連載。それまでの劇作家デュマに小説家としての名声を加えた。17世紀初頭のフランス、ルイ13世と宰相リシュリュー枢機卿(すうききょう)が対立を続け、一方新教徒たちはイギリス王権の勢力と結託し、国内の秩序を脅かしつつある。登場人物アトス、アラミス、ポルトスは国王側の近衛(このえ)銃士で、そこにガスコーニュの田舎(いなか)から出てきた若い騎士ダルタニヤンが加わり、楽天的で友情に厚い4人組ができあがり、次々と冒険をくぐり抜ける。最後まで正体不明の悪魔的女性ミレディーも読者の興味をひきつける。デュマは続編に、それぞれ大部の小説、『二十年後』(1845)、『ブラジュロンヌ子爵』(1848~50)を残している。

宮原 信]

『生島遼一訳『三銃士』全4冊(岩波文庫)』

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百科事典マイペディア 「三銃士」の意味・わかりやすい解説

三銃士【さんじゅうし】

デュマ(父)の歴史小説。《Les trois mousquetaires》。1844年作。ガスコーニュ出身の青年剣客ダルタニャンが偶然の決闘から知り合った近衛(このえ)三銃士とともに,時の宰相リシュリューの陰謀を打ち砕くべく縦横無尽に活躍するという筋で,史実と自由奔放な空想とを取り混ぜた痛快な物語。《二十年後》《ブラジュロンヌ子爵》とともに三部作をなす。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三銃士」の意味・わかりやすい解説

三銃士
さんじゅうし
Les Trois Mousquetaires

フランスの小説家アレクサンドル・デュマ (ペール) の代表作。 1844年刊。ガスコーニュ出身の好漢ダルタニャンと3人の銃士,アトス,アラミス,ポルトスが,権力欲のため王妃の失墜をはかる宰相リシュリューとその手先の妖艶な悪女ミレディの奸計に立ち向い,縦横無尽の活躍をする。陰謀,恋,冒険など波乱に満ち,4人の性格の描き分けと相まって歴史小説の傑作とされる。

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デジタル大辞泉プラス 「三銃士」の解説

三銃士

2003年初演のミュージカル。原題《3 Musketiere》。作詞・作曲:ロブ・ボーランド、フェルディ・ボーランド。アレクサンドル・デュマ(大デュマ)の同名の小説に基づく。日本では2011年に東宝により初演。

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世界大百科事典(旧版)内の三銃士の言及

【ガスコーニュ】より

…こうした戦乱の伝統の生んだ勇猛で好戦的な気風は近代にも生き残り,多くの若者たちが土地の貧しさから,富と出世の機会を軍隊に求め故郷を離れた。デュマ作《三銃士》は,こうしたガスコーニュの若者たちを主人公に,彼らの冒険好きでほら吹きで,空威張りの気味はあるが友情に厚い気質(ガスコンかたぎ)をえがいている。 ピレネー地方には,西から,バスク,ベアルン,ビゴール,コマンジュの4地方が区別される。…

※「三銃士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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