失墜(読み)シッツイ

デジタル大辞泉 「失墜」の意味・読み・例文・類語

しっ‐つい【失墜】

[名](スル)
名誉・権威などを失うこと。「会社信用失墜する」
むだな出費浪費
「肴買ひたる代物、―にまかりなり候」〈甲陽軍鑑・三〇〉
不足すること。また、まちがいのあること。
「これ観音の銭なれば、いづれも―なく返納し奉る」〈浮・永代蔵・一〉
[類語]失脚落ちる落ち込む陥る落っこちる下がる沈む下降する降下する沈下する低下する低落する下落する落下する落馬する落輪する脱輪する墜落する滑落する転落する崩落する滑り落ちる転げ落ちる崩れ落ちる零れ落ちる零れる

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精選版 日本国語大辞典 「失墜」の意味・読み・例文・類語

しっ‐つい【失墜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物を落としたりしてなくすこと。また、地位や名誉などを失うこと。
    1. [初出の実例]「あはれむべし、白法の失墜せることを」(出典:正法眼蔵(1231‐53)洗面)
    2. 「一朝良心を売りて、地位名望を失墜する者」(出典:政治小説を論ず(1898)〈後藤宙外〉吾人の所見)
    3. [その他の文献]〔春秋左伝‐昭公二五年〕
  3. 年貢などを契約通りに納入しないこと。また、不足すること。
    1. [初出の実例]「本所乃貢失墜之条、背理致歟」(出典:入来院家文書‐貞和二年(1346)一二月一三日)
  4. むだに使いへらすこと。無用の失費。浪費。徒費
    1. [初出の実例]「欽哉戒之。不失墜」(出典:本朝文粋(1060頃)三・皇子加元服祝文〈紀長谷雄〉)
    2. 「その入り目失ついをば、家財を以て私の方から仕と云って」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)四)
  5. 農作物ができないこと。駄目になること。
    1. [初出の実例]「後聞、所々田地多以失墜。不思議天災也。洪水当国殊甚云々」(出典:師郷記‐嘉吉三年(1443)五月二〇日)
  6. 失敗。
    1. [初出の実例]「大小侯伯、藩屏の任に於て、もし失墜あるときは、屹度厳譴に処して可なり」(出典:公議所日誌‐一二・明治二年(1869)五月)

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普及版 字通 「失墜」の読み・字形・画数・意味

【失墜】しつつい

失敗する。〔後漢書、梁統伝〕(上)宣正直にしてし、臣下を奉じ、失する無し。先典に因循(いんじゆん)し、天下理(をさ)まるとす。

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