六訂版 家庭医学大全科 「上・下前腸骨棘裂離骨折」の解説
上・下前腸骨棘裂離骨折
じょう・かぜんちょうこつきょくれつりこっせつ
Avulsion fracture of the anterior superior / inferior iliac spine
(運動器系の病気(外傷を含む))
どんな外傷か
骨盤には大腿や体幹(胴)の筋肉がついている突起部がいくつかあり、そのうち
これは裂離骨折と呼ばれ、そのうち上前腸骨棘裂離骨折と下前腸骨棘裂離骨折は高頻度に発生します。
いずれもスポーツ中に急激で強い
区別すべき障害と合併症
同じ年齢層、同じ部位に痛みを来す障害に上・下前腸骨棘
裂離骨折の合併症として、まれに大腿外側皮神経障害を来すことがあります。症状としては、大腿の外側から前面にかけてのしびれが現れます。
症状の現れ方
ダッシュやキックなどで突然股関節の前面やや上のあたりに激痛が現れ、スポーツ活動が続けられなくなります。
検査と診断
上・下前腸骨棘のところに圧痛、
治療の方法
保存療法と手術療法とがあります。原則的には、骨折のずれが小さければ保存療法を、大きければ手術を行うとされていますが、はっきりした基準はありません。ずれが小さくても早期復帰を目的にネジ釘を用いて固定する手術を行うことや、反対に比較的大きなずれがあっても安静療法で治すこともあります。いずれの治療法でも、ほとんどの場合大きな後遺症を残すことはありません。
応急処置や予防対策はどうするか
応急処置としてアイシングを行い、損傷の起きた肢に荷重しないように、足を浮かせるようにしてただちに整形外科を受診します。予防対策としては、大腿の筋肉のストレッチングをスポーツ前後に行うこと、大腿の前と後ろの両方の筋力トレーニングをバランスよく行うことなどがあります。
加藤 公
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報