河流や氷河がその底面に向かって働きかける侵食作用。下方侵食または単に下刻ともいう。側刻作用に対して用いる語。下刻によって底面はしだいに低下する。底面が岩盤からなる所でも岩石中の割れ目に沿って岩塊がもぎ取られる(切離作用(せつりさよう))ことがあり、流水や氷が砂礫(されき)を伴っていると、やすりの役目をして研磨作用が行われる。底面が堆積(たいせき)物からなる所では、大きな洪水のときに数メートルも削られて深くなることが珍しくない。下刻は谷の発達に重要な役割を果たすが、老年期以降、侵食基準面に近づくにつれて弱まる。氷河の場合には侵食基準面よりさらに下方に下刻が及ぶ過下刻作用の行われることがある。現実には下刻と側刻とは同時に働く。
[髙山茂美]
…河川によって形成されたことを強調して,河成段丘ともよぶ。段丘面はかつて河川が流れていた当時の旧河床,氾濫原で,川の下刻作用(深くほりさげる作用)によって洪水位より十分高い位置に離水した地形である。日本の平野および山間河谷には広く分布する。…
…物理的作用では水そのものが働くことよりも,流水が運んでいる礫などが河床や谷壁を削ったり,そこに堆積していた岩屑や砂礫を削り取ることの方が著しい。浸食作用には,河床を深くする下刻作用と,谷幅を広くする側刻作用がある。下刻作用が著しいと峡谷が形成され,側刻作用が著しいと幅の広い河谷が形成される。…
※「下刻作用」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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