不道(読み)ぶどう

精選版 日本国語大辞典 「不道」の意味・読み・例文・類語

ぶ‐どう‥ダウ【不道・無道】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ぶとう」とも。「不道」の場合は「ふどう」とも )
  2. ( 形動 ) 道理に合わないこと。人の道にそむくこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「宮の御前を押し開き、ぶだう射させんとぞ思ふ」(出典:梁塵秘抄(1179頃)二)
    2. 「秀吉公無道にして」(出典:集義和書(1676頃)九)
    3. [その他の文献]〔春秋左伝‐文公一八年〕
  3. 十悪または八虐の一つ。八虐では、悪逆に次いで第五番目にあげられている罪。一家三人を殺す、人を殺して手足を切断する、夫や夫の父母などを殴打告訴したり、殺そうとしたりするなどの行為に科される罪名。
    1. [初出の実例]「五曰不道」(出典:律(718)八虐)
  4. ( ━する ) ( 「道」は「言う」の意 ) 言わないでおくこと。また、言葉で表現できないこと。
    1. [初出の実例]「この道得を道得するとき、不道得を不道するなり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)道得)

不道の語誌

古辞書類やキリシタン資料ではブタウを採用しており、ブダウとするものは見当たらないが、「書言字考節用集」では、ブダウとあり、中世末以降ブダウの勢力がましていったと思われる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「不道」の意味・わかりやすい解説

不道
ふどう

八虐の第5。律の用語。一家3人殺害・肢体切断の殺害,毒物製造所持,呪術行為,伯叔父・姑 (こ。伯叔母) ・兄姉・外祖父母・夫・夫の父母に対する暴行・告訴・殺人予備,4等親以内の尊属・その妻の殺害などが,この罪に該当唐律の「不睦」を含む。

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普及版 字通 「不道」の読み・字形・画数・意味

【不道】ふどう

無道

字通「不」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の不道の言及

【八虐】より

…律の条文のうち,主として儒教的見地から道徳上の教えに違反する罪を集めて,それを謀反(むへん)(反をはかる),謀大逆(大逆をはかる),謀叛(むほん)(叛をはかる),悪逆,不道,大不敬,不孝,不義の8項目に分類し(表参照),それに特別な法的効果を付与した規定。したがって八虐に当たる罪に対する刑罰がすべて重いとは限らない。…

※「不道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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