日本大百科全書(ニッポニカ) 「世界日」の意味・わかりやすい解説
世界日
せかいび
World Days
太陽および地球物理の強化観測を全世界的に行う日。1957年7月1日~1958年12月31日に行われた国際地球観測年(IGY)で実施され、その後、国際協力により各国各機関の間で特定の日を決めて強化観測を行い、太陽・地磁気活動情報を発表するようになった。これが、国際世界日サービスInternational Ursigram and World Days Service(IUWDS)である。日本では、郵政省電波研究所(現、情報通信研究機構)が西太平洋地域担当センターとしてこのサービスを行ってきた。その後IUWDSは、観測機器や通信機器の飛躍的な向上により、IGYから続いている太陽・地磁気活動情報をさらに充実させ、1996年からは国際宇宙環境サービスInternational Space Environment Service(ISES)と名称変更をした。2017年時点で、アメリカ(ボールダー)にISES本部、中国(2機関)、ロシア、インド、カナダ、チェコ、日本、オーストラリア、スウェーデン、ベルギー、ポーランド、南アフリカ共和国、メキシコ、ブラジル、韓国、インドネシア、オーストリア、イギリスが加盟しており、ESA(イーサ)(ヨーロッパ宇宙機関)が協力している。
毎年作成されている『国際地球観測暦』に記載されている世界日には、次の2種類がある。
(1)定期世界日 毎月中旬の連続する3日間で、つねに火・水・木曜日。そのなかの水曜日が特別定期世界日となっている。
(2)四半期世界日 各季節ごとに1日実施される特別定期世界日。
大容量の情報通信が可能となった現在では「世界日」の意義は薄れてきているが、ISESは世界日に加えて、太陽活動、地磁気活動、太陽から飛来する陽子(プロトン)、電離圏の現在の状況と予報を毎日発表している。さらに、大型の太陽フレア(太陽面爆発)現象や地磁気嵐(地磁気の不規則な変化のうち、地球規模でほとんど同時に起こる大きな変化)が発生した場合の警報も発表しており、宇宙利用の進展にあわせて、宇宙天気予報space weather forecastとして宇宙飛行士や人工衛星の運用者に活用されている。
[安田敏明・饒村 曜]
『郵政省通信総合研究所編『情報通信研究の最前線――郵政省通信総合研究所のすべて』(1999・電波新聞社)』