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視空間 しくうかん visual space

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

視空間
しくうかん
visual space

視覚を通じて構成される行動空間のことで,空間知覚の基礎となる。視覚だけでなく,重力によって生じる感覚なども,視空間を規定する重要な要因となる。上下,左右,前後の3方向は主要方向と呼ばれ,これら以外の方向にはない特別な重みをもっている。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉の解説

し‐くうかん【視空間】

心理学で、視覚を通して知覚される空間的広がりをいう。遠近・方向・形・奥行きなどの性質を含む。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

視空間
しくうかん
visual space

心理学用語。視覚を通して三次元空間内での自己と対象との位置関係、対象の大きさ・形・奥行、対象相互間の位置関係、あるいは空間内での自己の位置などを知ることによって形成される知覚空間をいう。これに対して、聴覚によって形成される知覚空間は聴空間、触覚や運動感覚などの体性感覚によって形成される知覚空間は触空間とよばれる。視空間、聴空間、触空間はそれぞれが相補って全体としてまとまった知覚空間を形成するが、これらの間に矛盾がある場合には、視空間を中心とする知覚空間が成立する。[吉岡一郎]

視空間の異方性

物理学的空間や幾何学的空間が無限、等質で固定的であるのに対して、視空間は有限、非等質で可塑的である。すなわち、視空間は自己を中心として、上下、左右、前後の主要な3方向に分化し、自己からの方向や距離に応じて対象は異なって知覚されるのである。たとえば、同じ長さの垂直線分と水平線分とでは垂直線分が長く見え、垂直線分を2等分すると上半分が下半分よりも長く見えるし、地平線や水平線上の月は中天の月よりもずっと大きく見える。このように、自己からの方向が異なることによって、視空間の性質が異なることを視空間の異方性という。[吉岡一郎]

大きさの恒常現象

地上の自動車を高い所から見下ろしたり遠くから眺めると、自動車は玩具(がんぐ)のように小さく見えるが、たとえば2メートルの距離から見た自動車の大きさは、その倍の4メートルの距離から見たものと変わらない。しかし、目の網膜に映る像の長さは、4メートルの所では2メートルの所での像の2分の1になっているはずである。網膜像の大きさがこのように変化するにもかかわらず、対象の知覚された大きさはあまり変わらないことを大きさの恒常現象という。暗黒空間内の対象や、視野を制限したり、片方の目だけで対象を見たりするときなど、対象までの距離が明確に知覚されない場合には、対象の大きさは網膜像の大きさにほぼ比例して知覚されるが、視空間が、距離を知覚する手掛りとなるものが豊富な、日常経験する空間に近づくほど、対象そのものの大きさに近く知覚され、恒常現象が起こりやすい。恒常現象は大きさの知覚だけでなく、方向、形、明るさ、色の知覚においても認められ、視空間の安定に役だっている。[吉岡一郎]

奥行知覚の手掛り

網膜像は二次元的な広がりしかもたないが、対象までの距離(絶対距離)や対象の奥行あるいは対象相互間の距離(相対距離)を知り、空間を三次元的に知覚する手掛りとなるものを、奥行知覚の手掛りという。奥行知覚の手掛りは、片方の目で見る(単眼視)場合でも有効な単眼手掛りと、両眼で見る(両眼視)ときに働く両眼手掛りとに分けられる。単眼手掛りには、(1)線遠近法(平行線間の隔りが遠くになるほど狭くなっていく)、(2)大気遠近法(遠くのものほど輪郭や色彩が不明瞭(ふめいりょう)になり、青みがかってくる)、(3)きめの勾配(こうばい)(遠くなるにつれてきめが細かくなる)、(4)相対的大きさ(遠くにあるものほど小さい)、(5)ものの重なりぐあい(隠しているものは近く、隠されているものが遠い)、(6)陰影(陰になっているところが引っ込んで見える)、(7)運動視差(動いているときに、注視している対象より近くにあるものは運動方向の逆方向に、遠くにあるものは運動方向と同じ方向に動くように見える)、(8)調節(近くのものを見るときには水晶体を厚くし、遠くのものを見るときにはそれを薄くして、網膜に鮮明な像が結ばれるように調節するときの筋感覚で、有効範囲は2メートル以内)などがある。
 両眼手掛りには、(1)輻輳(ふくそう)(両眼で1点を注視するとき、左眼と右眼の視線が注視点で交わることを輻輳というが、遠対象を注視するときには眼球が内転し、近対象のときには外転する。眼球が内転あるいは外転するときの筋感覚が手掛りとなる。有効範囲は20メートル以内)、(2)両眼像差または両眼非対応(人間の目は左右に離れてついているので、両眼で同一対象を注視するとき、その対象の網膜像は左眼と右眼で少し異なっている。この網膜像の相違を両眼像差または両眼非対応という。異なった二つの網膜像が融合すると、一つの奥行のある対象として知覚される)がある。イギリスの学者ホイートストンが1838年に考案した実体鏡は、同一対象を左眼で見たときと右眼で見たときの像を別々に描いた絵や写真を、それぞれ一方の目だけに見えるようにして鮮やかな立体感を生じさせる装置である。
 アメリカの心理学者J・J・ギブソンは視空間を視覚野visual fieldと視覚世界visual worldとに分けたが、視覚野が、1点を注視したときに経験され、注視点を動かすと変化する視空間であるのに対して、視覚世界は、それに基づいて行動が生起する視空間であり、注視点の移動によっては変化しない。視空間は自己を中心とする三次元的座標系として形成され、この座標系に対象が位置づけられるに伴って座標系は外在化し、ついには自己がそのなかに位置づけられる視覚世界が成立するものと考えられる。[吉岡一郎]
『田崎京二・大山正・樋渡涓二編『視覚情報処理』(1979・朝倉書店) ▽W・メッツガー著、盛永四郎訳『視覚の法則』(1968・岩波書店) ▽J. J. Gibson The Perception of Visual World (1950, Houghton Mifflin, Boston)』

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