中小企業の経営診断を行い、経営課題に対して助言をする人、またその資格。中小企業支援法(昭和38年法律第147号)の規定に基づいて登録される。経営コンサルタントとしての唯一の国家資格であり、企業の成長戦略に関し、専門的知識と現状分析に基づいて適切にアドバイスを行うことがおもな役割である。また、経営計画を立案するにあたって必要となる行政や金融機関などとのパイプ役として、企業活動を支援する業務を担う。中小企業診断士制度は、通商産業省(現、経済産業省)により1952年(昭和27)に設けられた中小企業診断員登録制度が始まりである。その後、1963年に中小企業指導法(現在の中小企業支援法)により制度化され、1969年に現在の名称に改められた。
中小企業診断士の資格を得るには、一般社団法人中小企業診断協会が行う一次試験に合格したのち、次のいずれかの養成課程を経る必要がある。(1)中小企業診断士試験二次試験に合格し、15日以上の診断実務に従事するか、実務補習機関で講座を受講して修了する。(2)中小企業大学校(中小企業基盤整備機構)、または経済産業大臣が登録する登録養成機関が行う登録養成課程を受講して修了する。以上の養成課程を経て資格登録された者には、中小企業診断士登録証が交付される。資格の有効期間は5年間。資格更新には有効期間中に、養成機関や中小企業大学校が実施する研修を5回以上受講し、さらに、経営診断などの実務を30日間以上行うなど、知識と実務に関する要件を両方満たす必要がある。
[編集部]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…その資格・名称も多種多様で通産省の調査でも100種以上の称号が存在するという。現在,日本で企業診断の専門家として国がその能力を認定し資格称号を与えているのは〈中小企業診断士〉だけである。中小企業診断士制度は,63年公布の中小企業指導法に基づいて中小企業診断士として資格を有するものを通産大臣登録する制度で,大臣登録を受けようとするものは,(1)通産大臣が指定する法人(社団法人中小企業診断協会)が行う診断士試験に合格しているか,(2)中小企業事業団の中小企業大学校が行う1ヵ年の診断士養成の課程を修了したもの,となっている。…
※「中小企業診断士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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