天体が自分自身の重力(万有引力)のために急激に収縮すること。逆に,夜空に輝くふつうの星は重力平衡の状態にある。すなわち,恒星は自分自身の重力のために収縮しようとするが,星の内部は高温,高圧になっていて,その圧力の差による力で収縮を止め,つり合いの状態に保たれている。しかし,星の内部の温度や密度がある特定の範囲内に達し,物質が相変化を起こすときには,恒星は重力平衡にはありえず,重力崩壊を起こす場合がある。ガス雲から星が生まれるとき,ガスが圧縮されて温度が2000Kを超えると,それまでの水素分子は解離して水素原子になり,さらに続いて水素原子はイオン化し,陽子と電子に分かれる。これらの相変化に伴って星は不安定になり,重力崩壊をしてふつうの恒星になる。重力崩壊の速さは,最初は比較的ゆっくりしているが,星が生まれる直前には1ヵ月という速さである。こうして生まれた星の内部では原子核の融合反応が進み,ついに星の中心部が鉄になると,これは原子核燃料の灰である。エネルギー源のなくなった星はもはや重力収縮をするしかない。そして内部の温度が40億Kを超えると,鉄の原子核は高温の下にある光子を吸収して,13個のヘリウムと4個の中性子に分解する。この際のエネルギーの吸収と相変化とに伴って,星の中心核は1秒以下の時間で急激に重力崩壊をする。崩壊の始まるときの中心密度は,1cm3当り10億gであるが,密度が1000兆g程度になるまで収縮すると崩壊は止まり,その後に中性子星が残される。その際に衝撃波が発生し,これが星の外層に伝わってそれを吹き飛ばす。超新星爆発である。しかし中心核の質量が太陽の2倍程度より大きい重い星の場合には,重力崩壊はどこまでも続き,ついには一般相対性理論による時空の曲りが問題になってきて,崩壊は止まるところを知らない。このようにしてブラックホールが形成される。
執筆者:杉本 大一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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