日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーデ」の意味・わかりやすい解説
バーデ
ばーで
Walter Baade
(1893―1960)
ドイツ生まれのアメリカの天文学者。星の種族の発見者。1919年ゲッティンゲン大学で学位を得、ハンブルク天文台員を務めたうえ、1931年にアメリカに渡りウィルソン山天文台、ついで1948年にパロマ山天文台に移る。初期の観測で特異小惑星ヒダルゴやイカルスを発見した。ついで銀河系や銀河を観測の対象とした。1942年第二次世界大戦中ロサンゼルスの灯火管制下で、100インチ(2.54メートル)鏡に特殊乾板とフィルターを取り付けて、アンドロメダ銀河の中核部を赤色巨星の像に分解することに成功、さらに星雲の周辺部と中核部とではHR図分布が異なることを発見して、前者を第1種族、後者を第2種族に分類した。1952年には銀河内で2種類の脈動変光星の周期光度関係が異なることを確かめ、シャプリーの定めた距離目盛りを従来の約2.5倍に改訂した。1959年ドイツに戻り母校の教授に就任した。
[島村福太郎]