中野実(読み)なかのみのる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「中野実」の意味・わかりやすい解説

中野実
なかのみのる
(1901―1973)

劇作家小説家。大阪生まれ。法政大学文科中退。岡本綺堂(きどう)に師事。1932年(昭和7)松竹募集脚本史劇木曽義仲(きそよしなか)』が当選、その後『喇叭(らっぱ)』を書き、戦時ドラマのヒット作となった。一方、ユーモア小説にも意欲を示し、『パパ青春』(1934)、『坊っちゃん重役』(1937)などを次々と発表した。第二次世界大戦後は新派新国劇歌舞伎(かぶき)に新作を発表、代表作に『明日(あした)の幸福』(1954)、『褌(ふんどし)医者』(1955)がある。

水落 潔]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中野実」の解説

中野実 なかの-みのる

1901-1973 昭和時代の劇作家,小説家。
明治34年11月30日生まれ。岡本綺堂(きどう)に師事。新派や新国劇の脚本やユーモア小説で知られる。昭和29年新派劇「明日の幸福」で毎日演劇賞,芸術祭賞。昭和48年1月3日死去。71歳。大阪出身。法大中退。戯曲に「或る女の生涯」,小説に「パパの青春」「ジャンケン娘」など。

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世界大百科事典(旧版)内の中野実の言及

【新派】より

…しかし,他方では文学座から東京芸術劇場,民衆芸術劇場(劇団民芸の前身)と新劇畑を歩んできた森雅之(1911‐73)が花柳を頼んで劇団員と等しい特別参加を続けるという例も生まれた。やがて,花柳は北条秀司の《女将》《太夫(こつたい)さん》《京舞》などの秀作や川口松太郎《銀座馬鹿》などの銀座シリーズで好評を得るようになり,水谷も中野実(1901‐73)の《息子の青春》《明日の幸福》,川口松太郎《皇女和の宮》,三島由紀夫《鹿鳴館》などに自分の芸境を発見するようになっていった。 こうして,劇団新派は戦後は東京築地の新橋演舞場をホームグラウンドに安定した上演活動を続け,阿部洋子,京塚昌子,緋多景子,花柳喜章,金田竜之介,菅原謙次,安井昌二,英つや子,水谷良重,波野(のち波乃)久里子ら新しく加わった俳優も成長していくが,61年に喜多村が世を去り,65年に花柳が没したころから,かげりの色が濃くなってきた。…

※「中野実」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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