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言語哲学 げんごてつがくphilosophy of language

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

言語哲学
げんごてつがく
philosophy of language

言語哲学の名で呼ばれている研究には,さまざまのものが含まれる。 (1) 言語の本質についての考察。特に演繹的になされるものをいうが,より広く,実際の言語研究の基盤に立つ言語理論まで含めることもある。 W.フンボルトの言語哲学など。 (2) 哲学の立場から,その一部分として言語を問題にする。記号や象徴の問題がよく取上げられる。言語分析を哲学の中心に据えようとする立場もあり,論理実証主義はこの方向にある。また,多くの異なる立場もあり,B.ラッセル,L.ウィトゲンシュタイン,R.カルナップらの研究が知られる。 (3) もっと広く,言語と,それが実際に用いられる背景をなす文化や社会との関係を考察する。

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大辞林 第三版の解説

げんごてつがく【言語哲学】

言語の本質や起源、言語と思考との関係、言語学の基礎理論などを考察する学問。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

言語哲学
げんごてつがく
philosophy of language

言語の本質や機能の問題、言語と思想、言語と事物の関係といった意味論的問題などを対象とする哲学。人間は「ことばをしゃべる動物(ホモ・ロクエンス)」といわれるように、言語は人間存在の本質的条件の一つである。それゆえプラトンの『クラテュロス』やアリストテレスの『命題論』以来、言語の本性の探究は哲学者の重要な関心事であった。だが「言語論的転回」とよばれるように、言語が哲学の中心問題の位置を占めるに至ったのは20世紀に特徴的なできごとである。そのための地ならしは19世紀にフンボルト、ソシュールフレーゲの3人によってなされた。言語を単なる伝達の手段ではなく世界観の表現であるとするフンボルトの思想は、カッシーラーの『象徴形式の哲学』(1923~29)に受け継がれ、ドイツにおける現象学や解釈学の言語哲学に影響を及ぼした。またソシュールは、社会的制度としての言語(ラング)を記号間の差異の体系としてとらえ、後のフランス構造主義の展開に理論的基礎を与えた。現代論理学の祖と目されるフレーゲはラッセルとともに言語分析の方法を確立し、哲学は「言語批判」であるとするウィットゲンシュタインを通じて、論理実証主義および分析哲学の展開に道を開いた。
 1960年代以降は隣接諸領域との相互交流も相まって、言語哲学の隆盛には目覚ましいものがある。モリスは言語研究の領域を統語論、意味論、語用論に区分したが、その三分法に従えば、統語論の分野ではチョムスキーの変形生成文法が17世紀の普遍文法の理想を追求して心理学や情報科学との連携を深め、また意味論においては様相論理学の可能世界モデルに依拠してクリプキが言語の指示機能の解明に新生面を開いた。さらに語用論の分野では、オースティンの言語行為論が言語使用の行為遂行的機能を緻密(ちみつ)な分析によって明らかにし、その影響は社会諸科学に及んでいる。今日言語哲学は、人間諸科学に対して基礎学の位置を占めているといってよい。[野家啓一]
『『岩波講座 哲学11 言語』(1968・岩波書店) ▽W・オルストン著、村上陽一郎訳『ことばの哲学』(1968・培風館) ▽坂本百大編『新版・ことばの哲学』(1983・北樹出版)』

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