主婦の友社(読み)しゅふのともしゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「主婦の友社」の意味・わかりやすい解説

主婦の友社(株)
しゅふのともしゃ

1916年(大正5)に創業した女性向け出版物発行を中心とする老舗(しにせ)出版社。ファッション、健康、育児、インテリアなどに関する雑誌・書籍・ムックを発行するほか、ウェブ事業などを行っている。おもな雑誌として、女性ファッション誌「Ray(レイ)」「mina(ミーナ)」「GISELe(ジゼル)」、生活情報誌「ゆうゆう」、園芸・ガーデニング専門誌「園芸ガイド」などがある。2017年(平成29)に蔦屋(つたや)書店や音楽・映像ソフトレンタル店などを経営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に買収され、その傘下に入った。

 出版社経営・編集者の石川武美(たけよし)(1887―1961)が1916年に創業した東京家政研究会が前身。創業翌年の1917年に女性誌「主婦之友」(1954年(昭和29)「主婦の友」に改題)を創刊し、戦時中の1943年(昭和18)には約164万部を発行する看板雑誌となった。1921年に社名を主婦之友社に、さらに1953年に現社名に改めた。1964年から「結婚したら主婦の友」をキャッチ・フレーズに部数を伸ばしたほか、「園芸ガイド」(1973)、「Ray」(1988)などを相次ぎ創刊。1995年(平成7)には中国軽工業出版社と提携して中国版「Ray」を刊行した。しかし女性誌の乱立、女性の社会進出、デジタル情報の普及に伴い、2008年(平成20)には主力の「主婦の友」が休刊。他の雑誌も徐々に部数を減らし、2009年には大日本印刷と業務・資本提携し、その傘下に入った。その後も業績不振が続き、2017年には主婦の友社の発行済株式の99.9%を、CCCが子会社カルチュア・エンタテインメントを通じて大日本印刷から取得し、主婦の友社はCCCグループ入りした。主婦の友社の本社は東京都文京区関口(せきぐち)。2017年3月末時点の資本金は1億円で、従業員数は134人。2017年3月期の売上高は86億円で、同期までの6期決算のうち5期が最終赤字であった。

[矢野 武 2018年6月19日]

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改訂新版 世界大百科事典 「主婦の友社」の意味・わかりやすい解説

主婦の友社[株] (しゅふのともしゃ)

石川武美創業の出版社。本社,東京都千代田区神田駿河台。1916年東京家政研究会の名称で発足し,翌17年《主婦之友》を創刊して社の基礎を固めた。21年社名を主婦之友社と改めた。家計や料理,着物などの実用記事が良妻賢母教育の世相を背景に好評を博し,〈結婚したら主婦之友〉の宣伝とあいまって,急速に読者を獲得,創刊数年にして競争の激しい婦人雑誌界に不動の地歩を築いた。一社一誌主義をとり,収益のすべてを本誌の充実にそそぎ,太平洋戦争中は国策に積極的に協力した。しかし,敗戦後,時流とともに歩いた同誌の全面的な戦争協力が批判の的とされ,石川は社長を退き,一時は廃刊を決意するにいたった。しかし,GHQの承認を得て新陣容を整えて再出発した。54年新年号からは誌名を《主婦の友》に改め,さらに56年3月号からは判型を大型化しAB判(210mm×257mm)とした。ローマ字名の新型婦人雑誌の続出するなか,《主婦の友》を含む伝統的な婦人4誌のうち3誌が相次いで休刊(《婦人生活》86年休刊,《婦人俱楽部》88年休刊,《主婦と生活》93年休刊),現在は《主婦の友》1誌を残すのみとなった。これは,もはやかつての良妻賢母教育に見合った編集方針では,女性,とくに若い層を読者に獲得することができなくなったためと思われる。こうした状況は雑誌の細分化をよび,同社は現在,月刊誌《わたしの赤ちゃん》(1973)などの各種雑誌を発行するほか,各種の単行本を刊行している。また本社で日用生活用品の販売も行っている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本の企業がわかる事典2014-2015 「主婦の友社」の解説

主婦の友社

正式社名「株式会社主婦の友社」。英文社名「SHUFUNOTOMO Co., Ltd.」。サービス業。大正5年(1916)「東京家政研究会」創業。同10年(1921)「主婦之友社」に改称。同13年(1924)株式会社化。昭和28年(1953)現在の社名に変更。本社は東京都千代田区神田駿河台。出版社。女性誌出版の老舗。雑誌「Ray」「SCawaii!」「GISELe」などを発行。大正6年(1917)創刊の「主婦の友」は平成20年(2008)休刊。

出典 講談社日本の企業がわかる事典2014-2015について 情報

世界大百科事典(旧版)内の主婦の友社の言及

【雑誌】より

…一定の間隔をおき長期にわたって刊行を続ける出版物。新聞や印刷通信物などとあわせて定期刊行物periodical,または図書館などにおいては逐次刊行物などと呼ばれることもあるが,新聞などにくらべると1号ごとの内容的なまとまりが強く,発行間隔がより長いことに耐えうるような編集,印刷,造本などの配慮がなされる。継続刊行ではあっても,双書などのように当初から全容がはっきりしていてその部分をかさねてゆくのとは異なり,1号ごとの刊行が主眼となり誌齢は試行の発展(または縮小)として結果する。…

※「主婦の友社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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