日本大百科全書(ニッポニカ) 「主婦の友」の意味・わかりやすい解説
主婦の友
しゅふのとも
1917年(大正6)から2008年(平成20)まで発行されていた日本の老舗(しにせ)女性月刊誌。発行は株式会社主婦の友社。一貫して料理、育児、家事、節約方法など暮らしに密着した実用本位の記事による家庭誌で、初めて付録に家計簿や衣服の型紙をつけた雑誌として知られる。創刊当時から「暮らしの知恵」特集を売り物にし、主婦ということばを日本に定着させた。
出版社経営・編集者の石川武美(たけよし)(1887―1961)が1917年に創刊した。創刊時(発行部数1万部、定価15銭)に「家庭の幸福と女性の地位の向上」を標榜(ひょうぼう)し、創刊翌年には別冊付録の先鞭(せんべん)をつけた。第二次世界大戦中の1943年(昭和18)には約164万部を発行する人気雑誌となった。「婦人倶楽部(クラブ)」(1920~1988)、「主婦と生活」(1946~1993)、「婦人生活」(1947~1986)とならぶ4大婦人誌の一角を占めていた。発刊以来題字は「主婦之友」であったが、1954年(昭和29)に主婦の友に変更。1956年3月号からB5判に大型化し、1966年1月号にAB判となった。1964年からは「結婚したら主婦の友」というキャッチコピーを使い、1989年には戦後最高の約162万部を記録した。しかし働く女性の増加とともに徐々に部数を減らし、1993年(平成5)には定番であった女優のカラー表紙をやめて生活情報誌に刷新したが、乱立した女性誌との競争やデジタル情報の普及に押され、部数低迷に歯止めがかからず、2008年6月号をもって休刊した。休刊時の発行部数は約7万部で、同誌調査によると休刊時の読者の95%が既婚女性であった。なお2014年からは年1回程度発行のムック誌「主婦の友Delux(デラックス)」として復刊している。
[矢野 武 2018年6月19日]