家庭医学館 「乳児嘔吐下痢症」の解説
にゅうじおうとげりしょうはくしょくべんせいげりしょうかせいしょうにこれらはくり【乳児嘔吐下痢症(白色便性下痢症/仮性小児コレラ/白痢) Infantile Pseudocholera】
おもに乳児にみられる、白色~黄白色の下痢便が特徴の、急性の病気です。ロタウイルスの感染によることが多く、潜伏期間(せんぷくきかん)が48時間未満と短いのも特徴です。冬を中心に寒い季節によくみられます。
ウイルスは便から手、口へと感染しやすく、広げないためには手洗いの励行が大事です。現在はロタウイルスの抗原(こうげん)を検出する検査が簡単に行なえるようになっています。
[症状]
あまり高くない発熱と、頻回(ひんかい)の嘔吐で始まり、続いて米のとぎ汁のような白色の水状の下痢が何度も続いて出ます。目に見えるほど大量の血液や粘液(ねんえき)がまじることはあまりありません。発熱と嘔吐は1日で終わります。便は、症状が始まってから、ふつう2~3日で黄色がかった色になり、5~7日後にはいつもの便に回復します。
急激な嘔吐と頻回の下痢のため、急速にからだから水分が失われ、脱水状態になりやすくなります。体重や尿量の減少、皮膚粘膜(ひふねんまく)の乾燥はもちろん、いつもうとうとするなどの意識状態の変化に注意が必要です。
[治療]
脱水状態を防ぐための水分補給と食事療法が治療の基本です。十分な水分摂取が必要ですが、病気の初期には、嘔吐のために口から飲むこともむずかしく、点滴(てんてき)が必要になることも少なくありません。
吐き気がなくなると食事療法が開始されます。初めは胃腸に負担を極力かけないように、少量の薄めたミルクや重湯(おもゆ)を飲ませます。便の状態をみながら量や濃度を増やし、徐々に消化のよい固形食物を加えていきます。