五仏(読み)ごぶつ

精選版 日本国語大辞典 「五仏」の意味・読み・例文・類語

ご‐ぶつ【五仏】

仏語。
[一] 真言密教の両部曼陀羅(まんだら)の法身大日如来と、如来から生じた、これをとりまく四仏金剛界胎蔵界の五仏があるが、実は同体とする。金剛界では、大日(中央)・阿閦(あしゅく)(東)・宝生(南)・阿彌陀(西)・不空成就(北)をいい、胎蔵界では大日(中央)・宝幢(ほうどう)(東)・開敷華王(かいふげおう)(南)・阿彌陀(西)・天鼓雷音(北)をいう。
※三代実録‐貞観五年(863)九月六日「即便為寺家、造立一堂、安置五仏
[二] 阿彌陀仏を中心に観音勢至地蔵龍樹の四菩薩を配した五尊。
※中右記‐大治四年(1129)閏七月二〇日「半丈六木像阿彌陀五仏」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「五仏」の意味・読み・例文・類語

ご‐ぶつ【五仏】

真言密教で、大日如来とその徳から生じた四仏。金剛界では大日・阿閦あしゅく宝生ほうしょう阿弥陀・不空成就の五如来、胎蔵界では大日・宝幢ほうどう開敷華かいふげ王・阿弥陀・天鼓てんく雷音の五如来。五智如来

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の五仏の言及

【五大明王】より

…ただし,台密(天台宗の密教)においては金剛夜叉明王の代りに烏枢沙(瑟)摩(うすさま)明王が加わる。唐代の不空のころに,金剛界五仏(上記明王に対応して,大日,阿閦(あしゆく),宝生,無量寿,不空成就)の教令輪身(きようりようりんしん)(忿怒身)として五尊にまとめられた密教像である。中国の例は,唐代に造られた五大明王鈴(東京国立博物館)しか知られていないが,日本では,宮中真言院における後七日御修法の本尊としての画像,あるいは平安時代に盛んであった五壇法の本尊として造像された。…

※「五仏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android