精選版 日本国語大辞典 「阿彌陀」の意味・読み・例文・類語
あみだ【阿彌陀】
- [ 1 ] ( [梵語] Amita の音訳。Amitābha 無量光、または Amitāyus 無量寿を略したものという ) 西方浄土の仏の名。いっさいの衆生を救うために、四八(または四七)の誓いをたてて仏となったという。もとの名は法蔵菩薩。平安中期、源信の「往生要集」の前後から、この仏の信仰が流行し、のちの浄土宗、真宗などでは本尊となって、この仏を信じ、その名を唱えれば、死後ただちに極楽浄土に生まれると信じられた。脇士として観世音菩薩と勢至菩薩を従える。また、九品の定印をもち、九体仏、四十九仏などの造像が盛んに行なわれた。彌陀。阿彌陀仏。あみだぶ。あみだほとけ。阿彌陀如来。無量寿仏。無量光仏。無碍(むげ)光仏。清浄光仏。尽十方無碍光如来。浄土の主。
- 阿彌陀[ 一 ]〈図像抄〉
- [初出の実例]「各於二国分尼寺一奉レ造二阿彌陀丈六像一躯。脇侍菩薩像二躯一」(出典:続日本紀‐天平宝字五年(761)六月庚申)
- [ 2 ] 〘 名詞 〙
- ① 「あみだかぶり(阿彌陀被)」の略。
- [初出の実例]「編笠をあみだにやって通りけり」(出典:雑俳・卯花衣(1834))
- ② 「あみだがさ(阿彌陀笠)」の略。
- ③ 「あみだくじ(阿彌陀籤)」の略。
- [初出の実例]「サア、阿彌陀(アミダ)ぢゃ阿彌陀ぢゃ」(出典:歌舞伎・百千鳥鳴門白浪(1797)四段)
- ④ ( 遊女が頭髪を笄(こうがい)や簪(かんざし)などで飾りたてたのが阿彌陀の後光に似ているところから ) 遊女。
- [初出の実例]「北国の阿彌陀御光を質に置」(出典:雑俳・柳多留‐一〇七(1829))
- ⑤ ( 轂(こしき)に輻(や)が集まっているさまが、阿彌陀の光背に似ているところから ) 人力車の車輪の、輪金などをはめた回りの木。
- [初出の実例]「綱引(つなびき)の車で出ると、車の阿彌陀が壊れてどたりと投げ出される」(出典:落語・夢の株式(1897)〈三代目三遊亭円遊〉)
- ⑥ 昆虫「あめんぼ(水黽)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
- ① 「あみだかぶり(阿彌陀被)」の略。
阿彌陀の語誌
平安中期までは阿彌陀仏や阿彌陀経など、本来の意味で用いられた語だが、浄土宗が一般に広く浸透するにつれて様々な意味や用法が生まれた。特に近世以降は、阿彌陀仏の絵や像にある放射状の光背から、[ 二 ]①~⑤のようなさまざまな意を派生した。