改訂新版 世界大百科事典 「五種経済」の意味・わかりやすい解説
五種経済 (ごしゅけいざい)
Wǔ zhǒng jīng jì
中華人民共和国の初期の五つの経済制度。新中国成立後,社会主義へ移行するまでの過渡期の経済制度は新民主主義革命によって生まれた新しい経済制度と旧社会から引きついだ古い経済制度が並存していた。基本的な経済構成要素は,新たに誕生した社会主義的な国営経済,土地改革後に生まれた農民と手工業者の単独経営経済,旧社会から引きついだ資本主義経済の3種類である。この3種類の経済制度と関連して,労働者・農民,都市の小ブルジョアジー,ブルジョアジーという三つの基本的な階級が存在する。これ以外に,半社会主義的な性質をもつ協同組合経済と,資本主義経済から社会主義経済への過渡的な形態である国家資本主義経済があるが,この2種類の経済は過渡的性質のものである。以上の5種類の経済制度を〈五種経済〉という。また,五種経済のうちで指導的地位を占めていたのは社会主義的な国営経済であり,その後五種経済は全人民所有制の国営経済と集団所有制経済へと移行した。
執筆者:斉藤 節夫
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