日本大百科全書(ニッポニカ) 「井口基成」の意味・わかりやすい解説
井口基成
いぐちもとなり
(1908―1983)
ピアノ奏者、教育家。東京生まれ。1930年(昭和5)東京音楽学校を卒業し、同年フランスに留学、イーブ・ナットらに学んだ。帰国後はバルトーク、スクリャービンなど多くの難曲の日本初演を手がけ、わが国初のスケールの大きなピアニストとして活躍した。第二次世界大戦後は、連続演奏会「古典より現代へ」などの活動を続けるかたわら、1948年(昭和23)には斎藤秀雄(ひでお)らと「子供のための音楽教室」を設立、以後これを発展させて、1961年の桐朋(とうほう)学園大学創設にまで尽力した。彼の導入した新しいシステムの音楽教育のもとから、優れた音楽家が輩出している。1942年芸術院賞、1949年毎日音楽賞などを受賞。また多くのピアノ作品の楽譜校訂にも功績があった。
[川口明子]
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