改訂新版 世界大百科事典 「音楽賞」の意味・わかりやすい解説
音楽賞 (おんがくしょう)
音楽活動の奨励を目的として,優秀な音楽家や音楽団体などに与えられる賞をいう。国家,公共団体,音楽財団,音楽学校などが主催者となっている場合が多い。賞状,メダルなどのほかに,褒賞金,助成金,奨学金などの形で賞金が与えられるのが一般的である。
受賞者を決定する方法としては,(1)公募して応募者の中から選抜するものと,(2)定められた専門委員がある一定期間内に行われる音楽活動を観察して該当者を決める場合の二通りがある。(1)のおもな賞には,ローマ賞(フランス),ベートーベン賞(ドイツ),国内のものとしては,芸術祭大賞,文化放送音楽賞などがある。(2)のおもなものは,ピュリッツァー賞の音楽部門(アメリカ),ジーメンス賞(スイス),ソニク音楽賞(デンマーク),ベルリン芸術賞(ドイツ),国内では,NHK交響楽団による尾高賞,毎日芸術賞,音楽クリティック・クラブ賞,サントリー音楽賞,洋楽と邦楽の両部門にわたるモービル音楽賞,音楽団体を対象とする音楽之友社賞,現代邦楽の作曲賞として宮城賞などがあげられる。
第2次大戦後の新しい現象としては,音楽評論に対する賞がいくつか現れたこと,レコード賞が盛んになったこと,放送番組のためのコンクールができたことなどが特筆される。レコード賞としては,グラミー賞(アメリカ),ウィーン・フレーテンウーア賞(オーストリア),アカデミー・フランセーズ・ディスク大賞(フランス),モントルー・ディスク世界賞(スイス),レコード大賞(日本)など。放送番組コンクールの中で,音楽番組を扱っているものにはイタリア賞,ザルツブルク・テレビ・オペラ賞などがある。
執筆者:成沢 玲子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報