亡羊の嘆(読み)ボウヨウノタン

デジタル大辞泉 「亡羊の嘆」の意味・読み・例文・類語

亡羊ぼうようたん

《「列子」説符から》逃げた羊を追いかけたが、道が多くて、見失ってしまって嘆くこと。学問の道があまりに幅広いために、容易に真理をつかむことができないことのたとえ。また、あれかこれかと思案に暮れることのたとえ。多岐亡羊

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精選版 日本国語大辞典 「亡羊の嘆」の意味・読み・例文・類語

ぼうよう【亡羊】 の 嘆(たん)

  1. ( 逃げた羊を追い求めたが、枝道が多くて見失い、途方にくれたという「列子‐説符」の故事から ) 学問の道が、あまりにもいろいろに分かれているため容易に真理を得られないこと。どこから手をつけてよいか途方にくれること。多岐亡羊
    1. [初出の実例]「其処に尚、亡羊(バウヤウ)の嘆(タン)があった」(出典恩讐彼方に(1919)〈菊池寛〉三)

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故事成語を知る辞典 「亡羊の嘆」の解説

亡羊の嘆

学問が細分化しているために、容易に真理が得られないという嘆き。また、手段があまりにたくさんあるために、何をすればいいか迷ってしまうことのたとえ。

[使用例] お花殺しの事件は余り世人が知らないけれど、実は一時全く索線てがかりが絶えて亡羊の歎を抱かせたものである[矢田挿雲江戸から東京へ|1921]

[由来] 「列子―説符」に出て来る逸話から。紀元前四世紀、戦国時代の中国でのこと。ようしゅという思想家の隣の家で、飼っていた羊が逃げ出したことがありました。大勢の人が出て追いかけましたが、逃げた道の先がたくさんの分かれ道になっていて、結局、見失ってしまいました。それを聞いた楊朱は、何日もの間、浮かない顔をしていました。その理由はというと、学問の道も同じようにいくつにも分かれていて、人々が生き方を見失ってしまうことに思い至ったからだった、ということです。

〔異形〕多岐亡羊/岐路亡羊。

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