改訂新版 世界大百科事典 「交通安全対策基本法」の意味・わかりやすい解説
交通安全対策基本法 (こうつうあんぜんたいさくきほんほう)
陸上交通,海上交通,航空交通の各分野にわたって,交通安全対策の総合的かつ計画的な推進を図ることを目的として定められた交通安全に関する基本法(1970公布)。高度経済成長政策を背景とした道路交通事故の激増に対処するために,従来関係省庁が個別的に行ってきた交通安全行政の総合調整と計画的遂行を図るために制定された。同法は,(1)国・地方公共団体,車両等の製造者・使用者・運転者,歩行者,住民の交通安全に関する責務,(2)国・都道府県・市町村に置かれる交通安全対策会議の組織と事務,(3)交通安全基本計画の作成および公表,(4)交通安全に関する国と地方公共団体の基本的施策などを定めている。基本法であるため抽象的・訓示的規定が多く,具体的な交通規制は,陸上,海上,航空各分野の個別法律(道路交通法,海上衝突予防法・港則法,航空法等)によって定められている。
執筆者:晴山 一穂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報