改訂新版 世界大百科事典 「港則法」の意味・わかりやすい解説
港則法 (こうそくほう)
港内における船舶交通の安全と整頓を図ることを目的として制定された法律(1948公布)。本法制定以前に存在した旧開港港則(1898年公布の勅令)が,開港のみを対象とし,また関税や検疫事務に関する規定を含んでいたのに対して,本法は,その内容を交通警察的見地からの規定に純化するとともに,その適用対象を開港以外の港も含め港一般に拡張した。適用対象となる港およびその区域は政令(港則法施行令)によって定められることとされており,1997年現在その数は500余港となっている。また,これらの港のうち喫水の深い船舶が出入できる港または外国船舶が常時出入する港で,本法施行令によって定められている80余の港は〈特定港〉として,特別の規制が加えられている。本法は,入出港,停泊,航路,航法,危険物積載船および危険物の取扱い,水路の保全,船灯および信号など港内での船舶交通の安全のための全般的なルールを定めており,陸上でいえば道路交通法に相当する法律であるといえる。なお,海上における船舶交通に関する一般法として海上衝突予防法(1977公布)があり,港則法は同法の特例を定めたものである。また,同じく海上衝突予防法の特例を定めた法律として海上交通安全法(1972公布)があるが,同法は,東京湾,伊勢湾,瀬戸内海のうち港則法に基づく港以外の海域を対象としている。
執筆者:晴山 一穂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報