人工的に生成した雪。自然の雪は、水蒸気が0℃以下の空気中で浮遊しながら成長してできる。自然の雪と同じような条件で成長する人工雪は、1936年(昭和11)に中谷宇吉郎(なかやうきちろう)によって初めてつくられた。中谷は、零下10~零下30℃の低温室にガラスでできた二重円筒を置き、底の水槽を電熱で暖めて円筒内に水蒸気の対流を生じさせ、上部にウサギの毛を吊(つ)るして、それに雪の結晶を成長させた。円筒内の温度と、水蒸気量の目安としての水槽温度をいろいろ変えることにより、自然に見られるほとんどの種類の雪結晶をつくった。その後、水槽温度ではなく水蒸気過飽和度が直接測定され、雪結晶の形と気象条件(温度と過飽和度)の関係を示す「中谷・小林ダイヤグラム」が完成した。このダイヤグラムを利用すれば、降ってきた雪結晶の形から、それが成長した上空の気象条件を推定できる。中谷の有名なことば「雪は天から送られた手紙である」はこの意味である。
人工雪ということばは、雪不足を解決するための人工降雪の意味でも使われる。天然の雲が過冷却した水滴からなる場合、雲のなかに氷結晶のもとになる微粒子物質を散布すると、それが雪結晶成長の核となる。雪結晶は、過冷却水滴を消費することによって急速に成長し、降雪となる。また、スキー場などで使われる人工降雪機には、同様の方法で成長核になる物質を使うものもあるが、多くは噴霧した微水滴を落下中に凍結させて積もらせる方法であるから、厳密には雪ではない。
[前野紀一]
『中谷宇吉郎著『雪は天からの手紙』(岩波少年文庫)』▽『中谷宇吉郎著『雪』(岩波文庫)』
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