今井功(読み)いまいいさお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「今井功」の意味・わかりやすい解説

今井功
いまいいさお
(1914―2004)

物理学者。中国、大連(だいれん)市生まれ。1936年(昭和11)東京帝国大学物理学科卒業。1950年(昭和25)東京大学教授、1975年大阪大学教授、1978年工学院大学教授を歴任、その間、日本物理学会委員長などを務めた。その後、東京大学名誉教授、工学院大学名誉教授。流体力学の基本的な問題の解決に努め、高速圧縮流体粘性流体理論研究など、日本の流体力学の発展に多大の貢献をした。1959年日本学士院恩賜賞を受賞、1979年文化功労者となり、1988年文化勲章を受章

[編集部]

『今井功著『等角写像とその応用』(1979・岩波書店)』『今井功他著『演習力学』(1981・サイエンス社)』『今井功著『応用超関数論』1、2(1981、1982・サイエンス社)』『今井功著『複素解析と流体力学』(1989・日本評論社)』『今井功著『電磁気学を考える』(1990・サイエンス社)』『今井功著『流体力学』新装版(1993・岩波書店)』『今井功著『古典物理の数理』(2003・岩波書店)』『今井功著『新感覚物理入門――力学・電磁気学の新しい考え方』(2003・岩波書店)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「今井功」の意味・わかりやすい解説

今井功
いまいいさお

[生]1914.10.7. 満州,大連
[没]2004.10.24. 東京
流体物理学者。日本の流体力学理論の創設的指導者。1936年東京帝国大学理学部物理学科卒業。大阪帝国大学助手,東大講師,助教授を経て 1950年教授。1975年定年退官後,東京大学名誉教授。その後,大阪大学を経て,工学院大学に 1987年まで務め,工学院大学名誉教授。第2次世界大戦前後には,流体の流れる早さが音速に近い亜音速流,あるいは部分的に音速をこえる遷音速流について理論的に研究,複素関数論などを駆使して世界的な成果を上げた。この業績に対し 1950年度朝日賞,1959年度日本学士院恩賜賞が贈られた。戦後の一時期は航空研究が禁止されたこともあり非線形物理や電磁気にまず取り組み,次いで理想的でない粘性をもつ流体の一般理論を研究,独創的な業績を上げた。著書に『流体力学』『等角写像とその応用』『応用超関数論』など多数。1988年文化勲章受章。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「今井功」の解説

今井功 いまい-いさお

1914-2004 昭和-平成時代の物理学者。
大正3年10月7日中国大連生まれ。昭和25年東大教授となり,50年阪大教授,53年工学院大教授。流体力学の数理的な研究をすすめ,高速圧縮流体の理論などで知られる。34年学士院恩賜賞,63年文化勲章。国際純粋応用物理学連合理事などをつとめた。平成16年10月24日死去。90歳。東京帝大卒。

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