仕付け(読み)シツケ

デジタル大辞泉 「仕付け」の意味・読み・例文・類語

し‐つけ【仕付け】

《動詞「しつける」の連用形から。「躾」とも書く。「躾」は国字礼儀作法をその人の身につくように教え込むこと。また、その礼儀作法。「家庭仕付けがよい」「仕付け厳しい
裁縫で、縫い目や折り目を正しく整えるために仮にざっとあらく縫うこと。また、その糸。「仕付けを掛ける」
田畑作物を植え付けること。
作りつけること。
「笠に―の髭喰ひそらし」〈浄・大織冠・二〉
[類語]矯正仕込み調教矯める

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「仕付け」の意味・読み・例文・類語

し‐つけ【仕付・躾】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 作りつけること。設けて置くこと。〔運歩色葉(1548)〕
    1. [初出の実例]「鞘をば銀のし付にして」(出典:三好記(1663)下)
  3. ならわしとすること。習慣。
    1. [初出の実例]「其寺のしつけでする事があるぞ」(出典:百丈清規抄(1462)一)
    2. 「もとからのしつけでかうするぞ」(出典:史記抄(1477)一二)
  4. ( 躾 ) 礼儀作法を身につけさせること。また、身についた礼儀作法。
    1. [初出の実例]「キソワ ミヤコエ ノボッテ xitçuqe(シツケ) ナドワ ヨカッタカ?」(出典:天草本平家(1592)三)
  5. 処罰すること。制裁を加えること。
    1. [初出の実例]「何様にも地下我人にためにあしき事いたし於之者、ききいたし次第に、そうふんとしてしつけ可仕事」(出典:今堀日吉神社文書‐天正一八年(1590)一〇月六日・近江今堀惣分掟)
  6. 奉公させること。また、嫁に行かせること。
  7. 着物などの縫い目が整うように、また、仕立てがくるわないように、仮に糸で縁をあらく縫っておくこと。また、その糸。
    1. [初出の実例]「蛛(くも)の糸は木葉衣のしつけ哉〈近吉〉」(出典:俳諧・毛吹草追加(1647)中)
  8. 稲の苗を正しく植付けることから、田植の義となり、転じて田畑へ作物を栽培すること一般をいう。

仕付けの語誌

( について ) ( 1 )習慣性の意の仏語「習気(じっけ)」が一般化する過程で、語形が「しつけ」に変化し、動詞「しつける」の連用形名詞と混同され、漢語と意識されなくなる。
( 2 )対象を限定しない一般用語「仕付け」と区別する意図からか、「しつける」対象を礼儀作法に限る武家礼式の用語として「躾」「」などの字訓で表記されるようになり、「仕付け」を別語とする意識が広まったと思われる。さらに、「躾」は中世末期から近世初期にかけて武家礼式が急速に普及するとともに一般化した。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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