国民総生産(読み)コクミンソウセイサン

デジタル大辞泉 「国民総生産」の意味・読み・例文・類語

こくみん‐そうせいさん【国民総生産】

一定期間に国民経済が生産した財貨・サービス市場価格で評価した価値額から、その生産に要した原材料など中間生産物の価値額を差し引いた総額GNP(gross national product)。
[補説]経済指標としては、平成12年(2000)ごろから国民総所得GNI)の方が、より使われるようになっている。

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精選版 日本国語大辞典 「国民総生産」の意味・読み・例文・類語

こくみん‐そうせいさん【国民総生産】

  1. 〘 名詞 〙 一国民経済内で、一定期間(通常一年間)に生産された最終生産物貨幣価値で表わしたもの。消費と粗投資との合計にあたる。GNP。粗国民所得。〔経済を見る眼(1958)〕

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百科事典マイペディア 「国民総生産」の意味・わかりやすい解説

国民総生産【こくみんそうせいさん】

国民所得統計上の用語。gross national productの訳で略してGNPともいう。一国の国民が一定期間内に生産した付加価値の合計。具体的には国民経済全体の物やサービスの売上げ,賃金,企業利益,利子などの合計であり,国民が外国で生産した分も含める。経済学的にみると国民純生産減価償却部分ないし資本消費相当額を加えたもの。これをその利用面からみて国民総支出と呼ぶこともある。一国の経済の規模を計る尺度とされる。年々の市場価格で評価した名目国民総生産の実質的な価値を比較するためには,物価指数で修正した実質国民総生産が用いられる。→経済成長率新SNA
→関連項目グリーンGNP国内総生産国民所得国連社会開発サミット中曾根康弘内閣付加価値貿易依存度有効需要

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「国民総生産」の意味・わかりやすい解説

国民総生産
こくみんそうせいさん
gross national product

国民所得諸概念の一つ。一般にはGNPとよばれる。一国経済の一定期間(通常1年)の生産活動により生産された最終生産物(財・サービス)の総額をいう。2000年以降用いられている国民総所得gross national income(GNI)に相当する。国民総生産から海外からの純所得を控除したものを国内総生産gross domestic product(GDP)とよぶ。国民総生産は、最終生産物に含まれる原材料、中間財の価額を控除してあるので、この期間の粗付加価値となっている。国民総生産から、この期間の生産活動により減価した資本設備の償却額を控除したものが国民純生産net national product(NNP)であり、国民純生産から間接税と補助金との差額を控除したものが国民所得である。一国経済の規模を把握する指標としては、国民総生産のほうが国民所得よりも適切であるとして、第二次世界大戦後広く利用されるようになった。20世紀末のグローバル化、ボーダーレス化の進展によって、域内活動を表す国内総生産を使用することが多くなっている。また、海外資産からの利子所得など金融の国際化を反映した国民総所得も重視されつつある。

[鈴木博夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国民総生産」の意味・わかりやすい解説

国民総生産
こくみんそうせいさん
gross national product; GNP

一国において一定期間 (通常1年) に生産活動によって新たに付加された財・サービスの価値額の合計。つまり総生産物から中間生産物を控除した残りの総額。評価は市場価格 (最終需要者が最終生産物に対して支払う価格) で行われる。これをデフレーターで修正したものが実質国民総生産である。国民総生産において使われる「国民」概念は居住者をさし,非居住者が提供する資本などの生産要素による生産物は含まない (居住者による海外からの純所得は含まれる) 。なお,国民総生産から減価償却などの固定資本減耗を控除したものを国民純生産 net national product;NNPという。市場価格=要素費用 (生産活動に関与した生産要素に対して支払う価格──支払う側からみて要素費用,受取る側からみれば要素所得) +間接税-補助金であるから,国民純生産は概念的には要素費用表示の国民所得+間接税-補助金に一致する。 (→経済活動別国内総生産 )  

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改訂新版 世界大百科事典 「国民総生産」の意味・わかりやすい解説

国民総生産 (こくみんそうせいさん)

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栄養・生化学辞典 「国民総生産」の解説

国民総生産

 ある国の国民によって一定期間に生産されたすべての最終財とサービスの合計.国内で生産されたか国外で生産されたかを問わない.

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世界大百科事典(旧版)内の国民総生産の言及

【ケインズ学派】より

…すなわちケインズは,現実には経済において資源は必ずしも完全には利用されていない(たとえば労働の不完全雇用つまり失業の存在等)という事実に注目し,新古典派が解答を与えることができない重要な問題,なにが一国全体における資源の利用水準を決定するかという問題に,解答を与える理論を考えたのである。資源の利用度が高まれば当然生産水準も高まるから,ケインズの経済学は結局,一国全体における生産水準,あるいはその代表的な統計である国民総生産(GNP)がどのように決定されるかを考案したものということもできる。 一国全体での生産水準がいかに決定されるかを分析するために,ケインズは経済全体での財・サービスの需要・供給を考えた。…

【国内総生産・国民総生産】より

…国内総生産および国民総生産の概念は,国民経済計算の体系における連結生産勘定の借方項目として記録され,この勘定を作成する国と海外との要素所得の受取りおよび支払と密接な関連をもっている。
[国内総生産]
 勘定を作成する国の〈居住者〉である生産者によって生産された〈粗産出〉額から輸入関税を含む〈中間投入〉を差し引いた大きさを購入者価格で評価した金額を〈国内総生産〉(GDPと略記)という。…

【三面等価の原則】より

…支出国民所得は国民経済の総需要を表し,個人消費支出,政府の財貨・サービス経常購入,国内総資本形成,経常海外余剰に分類されている。 国民所得統計では,生産国民所得と支出国民所得とはそれぞれ国民総生産gross national product(GNP)と国民総支出gross national expenditure(GNE)に対応する。GNPとGNEとは本来等額でなければならないが,実際の推計では二つの値は一致しない。…

※「国民総生産」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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