仲原善忠(読み)なかはらぜんちゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「仲原善忠」の意味・わかりやすい解説

仲原善忠
なかはらぜんちゅう
(1890―1964)

沖縄研究者。とくにオモロ研究者として知られる。明治23年7月15日、沖縄県久米(くめ)島に生まれる。沖縄県師範学校、広島高等師範学校に学んだのち教職生活に入り、やがて成城高等学校の教授となった。かたわら『世界地理精義』(1931)、『理法探求日本地理精説』(1932)など地理参考書を著している。十五年戦争の時期から沖縄研究に没頭し、戦後相次いで研究史に残る仕事を発表した。代表的なものに『おもろ新釈』(1957)、『校本おもろさうし』(1965)、『おもろさうし辞典・総索引』(1967)などがある。近代主義的な学風信条とし、沖縄歴史についても優れた論文を残している。また、沖縄人連盟会長、沖縄文化協会長、琉球(りゅうきゅう)育英会東京事務所長などを歴任し、沖縄の救済後進の指導にも一貫して尽力した。昭和39年11月25日死去。

[高良倉吉]

『『仲原善忠全集』全四巻(1978・沖縄タイムス社)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「仲原善忠」の解説

仲原善忠 なかはら-ぜんちゅう

1890-1964 大正-昭和時代の教育者,沖縄研究家。
明治23年7月15日生まれ。大正13年東京の成城学園教諭となり,のち経営にもあたる。戦後,沖縄人連盟会長,沖縄文化協会会長などをつとめる。昭和23年同協会の機関誌「沖縄文化」を創刊,古歌謡「おもろ」の研究につくした。昭和39年11月25日死去。74歳。沖縄県出身。広島高師卒。著作に「おもろ新釈」など。

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世界大百科事典(旧版)内の仲原善忠の言及

【沖縄学】より

… 第2次大戦後は72年の〈施政権返還〉を画期として大別されよう。戦後初期の段階は沖縄が米軍施政下にある状況下で在京の比嘉春潮(ひがしゆんちよう)(1883‐1977),仲原善忠(なかはらぜんちゆう)(1890‐1964)らが東京に沖縄文化協会を設立(1948),沖縄研究を再出発させた。現地大学や本土留学によってしだいに戦後世代の若手研究者も育ち,〈日本復帰運動〉の高揚とも連関しながら研究は学際的な進展をみせた。…

※「仲原善忠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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