単孔類(読み)たんこうるい(英語表記)monotremes

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

単孔類
たんこうるい
monotremes

哺乳(ほにゅう)綱単孔目に属する動物の総称。この目Monotremataの仲間(原獣亜綱)は、他の現生の哺乳類(獣亜綱)と異なり卵生で乳頭がなく、乳腺(にゅうせん)は腹面の乳腺区に開孔し、総排出孔がある。また、心臓の右側房室間に三尖弁(さんせんべん)がなく、頸(けい)部に独立した肋骨(ろっこつ)、胸帯に烏口(うこう)骨、前烏口骨、間鎖骨があり、肩甲骨に棘(きょく)突起がない。体長40~80センチメートル、体は毛または針状毛で覆われ、鱗(うろこ)の痕跡(こんせき)がある。四肢は短く、目が小さく、耳介はないか小さく、角質のくちばしがある。声帯がなく、不完全な恒温性で体温は25~36℃。卵は柔らかい殻に包まれ、多黄で局分割性、左の卵巣のものだけが発達する。雄のかかとには細い穴があいたけづめがあり、毒腺につながる。化石は知られていない。オーストラリア区の特産で、2科3~6種がある。(1)ハリモグラ科 オーストラリア、タスマニア、ニューギニア島にハリモグラとナガハシハリモグラ(数種)がある。陸生で歯がなくアリやシロアリを食べる。雌には腹部に育児嚢(のう)があり、卵をこの中に入れて育てる。(2)カモノハシ科 オーストラリアとタスマニアにカモノハシを産するのみである。水生で、幼時に歯が生える。水辺に穴を掘って巣とし、そこで卵を抱く。カモノハシの剥製(はくせい)標本は1798年にロンドンの大英博物館に到着したが、1802年まで合成物と思われていた。カモノハシとハリモグラが卵生とわかったのは、ともに1884年である。

[今泉吉典]

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デジタル大辞泉の解説

たんこう‐るい【単孔類】

単孔目の原始的な哺乳類総称肛門・尿管・卵管が、鳥類爬虫(はちゅう)類のように単一の排泄孔(はいせつこう)に開く。卵生で、卵からかえった子は母親の腹部乳腺から乳を飲んで育つ。歯はなく、口はくちばしとなる。オーストラリア区に分布し、カモノハシハリモグラなどが含まれる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

単孔類
たんこうるい
Monotremata

哺乳綱単孔目に属する動物の総称。哺乳類であるにもかかわらず卵生で,消化管,排尿管,輸卵 (精) 管が同時に開口する総排泄孔をもつ。このため,分類上の位置についていろいろと論議されていたが,乳腺の存在が確かめられてから哺乳類に入れられた。体温が著しく変動し (27~33℃) ,かつ哺乳類としては低温である。後肢に毒液を出す (けづめ) をもつ。カモノハシハリモグラが知られており,オーストラリアおよびその付近の島にのみ分布する。

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百科事典マイペディアの解説

単孔類【たんこうるい】

最も原始的な哺乳(ほにゅう)類の一目。オーストラリア区の特産蹠行(せきこう)性で鉤爪(かぎづめ)を有する。生殖腺の下部は直腸と結合して総排出腔を形成するため単孔類の名がある。卵生。全身に毛を生じ乳腺をもつが,乳頭がない。体温は不完全な恒温性で25〜36℃の間を上下する。ハリモグラ科,カモノハシ科がある。

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世界大百科事典 第2版の解説

たんこうるい【単孔類 monotreme】

卵生の原始的な哺乳類で原獣亜綱単孔目Monotremataに属する。2科3種がありニューギニア,オーストラリア,タスマニアに分布する。爬虫類に似て総排出腔があり,肛門と尿生殖口が分かれていないため単孔類と呼ばれる。陰茎が尿を通さず,頸椎(けいつい)に小さな肋骨があるなどの点も爬虫類に似るが,皮膚には毛が生え,乳腺があるなどの点は他の哺乳類に等しい。四肢は短く,足裏をつけて歩く蹠行性(しよこうせい)で前・後足にはかぎづめをそなえる。

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