伯耆街道（読み）ほうきかいどう

日本歴史地名大系

伯耆街道
ほうきかいどう

• 鳥取県：総論
• 伯耆街道

鳥取城下から西方の伯耆国に至る近世の街道。鳥取藩の西端の要地米子城下との連絡路であることから米子往来ともいい、米子など伯耆部では鳥取往来もしくは因幡往来とよばれた。鳥取城下の鹿野（しかの）海道筋の茶（ちや）町から西へ分岐、鋳物師（いもじ）橋を渡って西へ進み、安長（やすなが）渡で千代川を越える。高草（たかくさ）郡内の湖山（こやま）池（現鳥取市）北岸をほぼ海岸線に沿って西進、気多（けた）郡に入る。高草郡西部以西には大小の峠がある。気多郡内海岸部を母木（ははき）宿・湯（ゆ）村（現気高町）、青屋（あおや）宿（現青谷町）と西へ進み、因伯国境の西坂（にしざか）峠に至る。青屋宿では鹿野宿（現鹿野町）に通じる伯耆中（ほうきなか）道が分岐する。鳥取城内堀の擬宝珠（ぎぼし）橋から安長渡までの距離は二二町二〇間（安政六年城下絵図）、西坂峠までは六里一一町余（因幡志）。西坂峠を越えて伯耆国河村（かわむら）郡の小浜（こばま）村に出、泊（とまり）宿に至る。泊宿西の園（その）村（以上現泊村）からは倉吉往来が分岐していた。さらに西へ進み湊（みなと）（橋津）―長瀬（ながせ）の宿駅を経て西長瀬（以上現羽合町）で天神川を船で渡り、久米（くめ）郡江北（えきた）浜―下神（しもつわ）村―松神（まつがみ）村（以上現北条町）―東園村を通って由良（ゆら）宿（以上現大栄町）に達する。この辺りの道はおもに北条（ほうじよう）砂丘上の水田と接するところに造られていたという（北条町誌）。由良宿から西は大塚（おおつか）（逢束）―八橋（やばせ）（以上現東伯町）―赤崎（あかさき）（現赤碕町）―下市（しもいち）（現中山町）―汗入（あせり）郡御来屋（みくりや）（現名和町）―淀江（よどえ）（現淀江町）の各宿駅を経て会見（あいみ）郡小波（こなみ）村（現同上）で日野往来が分岐する。佐陀（さだ）川を越えて日吉津（ひえづ）村（現日吉津村）から船で日野川を渡り、対岸の車尾（くずも）村に達した。車尾からの道筋は出雲街道と重なり、勝田（かんだ）村（以上現米子市）を経て米子城下に至った。道は米子町中の南東側を北東から南西に貫いて大工（だいく）町から南東に折れ、出雲国境の口陰田（くちいんだ）（以上現米子市）に達していた。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」