(読み)ブ

精選版 日本国語大辞典の解説

あなずらわあなづらはし【侮】

〘形シク〙
① たいして尊重する必要がない。とかく馬鹿にしたく思う。軽蔑したい。
※枕(10C終)二四「まめやかに、えせざいはひなど見てゐたらん人は、いぶせくあなづらはしく思ひやられて」
② 遠慮しないでよい。気がおけない。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「童にもあれば、すこしあなづらはしくやおぼえけむ」
あなずらわし‐げ
〘形動〙
あなずらわし‐さ
〘名〙

あなずり あなづり【侮】

〘名〙 (動詞「あなずる(侮)」の連用形の名詞化) あなどること。軽蔑すること。あなどり。
古事談(1212‐15頃)四「家人以下あなづりもぞし侍るとて作眼躰保由

あなず・る あなづる【侮】

〘他ラ四〙 (「あなどる(侮)」の古形) 馬鹿にする。軽蔑する。あなどる。
霊異記(810‐824)上「皆心を同じくして凌ぎ蔑(アナツリ)て曰はく〈興福寺本訓釈 蔑 安奈都利天〉」
※枕(10C終)二七「人にあなづらるるもの。築土のくづれ。あまり心よしと人にしられぬる人」
[語誌]→「あなどる(侮)」の語誌

あなどり【侮】

〘名〙 (動詞「あなどる(侮)」の連用形の名詞化) 他を見下げてばかにすること。軽蔑。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※伊蘇普物語(1873)〈渡部温訳〉一一「狎昵(こころやすだて)は軽侮(アナドリ)を生ず」

あなど・る【侮】

〘他ラ五(四)〙 他人を見下げてばかにする。軽蔑する。みくびる。あなずる。
新撰字鏡(898‐901頃)「傲 阿奈止留 又志乃久 又也志牟」
太平記(14C後)三五「災変起れば国土乱る。是上慎まず、下(アナト)る故也」
[語誌]上代・中古は、「あなづる」が優勢で、それが古形であると言われる。中世になり、次第に「あなどる」の用例が増加する。室町末の抄物類や「甲陽軍鑑」などでは併用されているが、「天草本平家物語」や「天草本伊曾保物語」などのキリシタン資料には「あなどる」だけが見え、「あなづる」はこの頃を境に衰えていったと考えられる。ただし、「日葡辞書」には両形見えるが「あなどる」の方がまさる旨の記述がある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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