保護司(読み)ホゴシ

デジタル大辞泉 「保護司」の意味・読み・例文・類語

ほご‐し【保護司】

犯罪者などの改善・更生を助け、犯罪予防のための保護観察に当たる者。社会的信望などを有する民間人の中から法務大臣が委嘱する。

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共同通信ニュース用語解説 「保護司」の解説

保護司

刑務所少年院を出て保護観察中の人の立ち直りを支える非常勤国家公務員で、法相が委嘱する。交通費などの実費を除き無報酬で、ボランティアとして活動する。対象者と面会して生活や仕事の悩みを聞いて助言するほか、円滑な社会復帰のために地域との調整役も担う。法務省によると2024年1月現在で、4万6584人。20年前と比べ2千人以上も減り、平均年齢65・6歳と高齢化も進む。法務省はアジアアフリカ各国で保護司制度の導入を支援している。

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精選版 日本国語大辞典 「保護司」の意味・読み・例文・類語

ほご‐し【保護司】

  1. 〘 名詞 〙 刑余者の更生を助け、犯罪を予防することを使命とする者。法務大臣が、社会的に信望のある民間人のうちから委嘱する。
    1. [初出の実例]「二階の端にある保護司室では」(出典:脱出(1935)〈福田清人〉一)

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改訂新版 世界大百科事典 「保護司」の意味・わかりやすい解説

保護司 (ほごし)

社会内において,犯罪をした者の改善および更生を助け,犯罪予防に努めることを使命とする無給非常勤の国家公務員。地域において社会的信望,生活安定,熱意等の要件を満たす者の中から法務大臣が委嘱する。明治年間に刑余者を保護する民間保護団体の発達をみたのに淵源をもつが,制度としては,1922年公布の旧少年法が,少年保護司の観察に付す処分を設け,官吏である少年保護司と民間人に嘱託する嘱託保護司の制度を設けたのが始まりである。1936年公布の思想犯保護観察法の施行により,保護司および嘱託保護司の制度が設けられ,39年には司法保護事業法の制定により司法保護委員が制度化されたが,第2次大戦後,50年公布の保護司法の公布・施行により,保護司と改称された。法務大臣の定める区域(保護区)におかれ,定数は全国で5万2500人以内と定められている。任期は2年であるが再任を妨げない。保護観察の主要な担い手であり,日本独特の民間の人材資源の活用方法として高く評価されているが,昨今の地域の連帯性の希薄化,人口の流動性等は,保護司制度がその機能を発揮することを困難にしている。
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知恵蔵 「保護司」の解説

保護司

少年法による保護観察処分を受けた者、少年院仮退院者、仮出所者、保護観察付きの執行猶予者などを対象とする保護観察において、対象者の更生を援助する。非常勤国家公務員だが、無給で、実費の全部または一部を支給される。更生を助けるために対象者の心の支えになり、刑事施設や少年院に入所中から退所後の社会復帰のために就労先を探したり、家族や学校、その他関係者との環境調整を図る。保護観察所の保護観察官の補佐的役割にあるが、実際にはそのほとんどを任されている場合も多い。任期は2年で、再任可。活動内容の約7割が少年事件である一方、保護司は高齢化しており、04年に76歳以上を再任しない定年制を導入、定員と若手の保護司を確保する仕組みを検討中。いくつかの事件を契機に保護観察制度の見直しの機運が高まっているが、05年4月施行の犯罪被害者等対策基本法と関連して国が出した基本計画案では、更生保護官署と保護司が刑事裁判後の加害者情報を犯罪被害者に提供し、逆に被害者の状況を加害者に伝える仲介役とすることを検討しており、司法福祉の実質的な担い手としての役割が重要になってきている。

(中谷茂一 聖学院大学助教授 / 2007年)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「保護司」の意味・わかりやすい解説

保護司
ほごし

犯罪を行った者の改善更生の援助、犯罪予防のための世論の啓発などを使命とする非常勤の国家公務員。社会的信望、職務に対する熱意・時間的余裕があることなどを条件に、法務大臣が委嘱する。任期は2年、再任も可能であるが、給与は支給されない。定員は5万2500人で、地域の状況に応じて全国に配置されている。保護観察官に協力して保護観察中の犯罪者・非行少年と適当な接触を保ち、その行状を観察して指導・助言・必要な援助を与え、また、仮釈放予定者の環境の調査・調整を行う。

[須々木主一・小西暁和]

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百科事典マイペディア 「保護司」の意味・わかりやすい解説

保護司【ほごし】

地方更生保護委員会または保護観察所長の指揮監督を受け,保護観察官を補って主として保護観察を担当する者。保護司法(1950年)に基づく。任期2年,無給与の仕事で,篤志家に委嘱する。社会奉仕の精神をもって犯罪者の改善・更生を助け,犯罪予防の世論の啓発,地域社会の浄化を使命とする。定数は全国で5万2500人以下。保護観察官が少なすぎるため,実質的に保護観察処遇を担っており,人員不足と選任方法が問題となっている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「保護司」の意味・わかりやすい解説

保護司
ほごし

保護観察官の職務を補佐する公務員。保護司選考会の意見を聞いて,法務大臣が,地域社会における篤志家に委嘱する。その使命は,保護司法 (昭和 25年法律 204号) に基づき,社会奉仕の精神をもって,保護区 (法務大臣が都道府県の区域を分けて定める) 内にある犯罪者の教化改善と更生を助け,犯罪予防のために世論の啓発に努めるなどして,地域社会の浄化をはかることにある。任期は2ヵ年で (再任を妨げない) ,その間,職務を行うために必要な費用以外給与は支給されない。保護司の定数は全国を通じて5万 2500人をこえないものとされる (2条2項) 。一般公務員と異なり,国家公務員法の適用は受けない。

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世界大百科事典(旧版)内の保護司の言及

【更生保護】より

…しかし感化院の収容能力は脆弱であり,少年保護のための特別立法の必要に迫られ,22年に(旧)少年法が制定された。その中に保護処分として〈少年保護司の観察に付する〉という日本初の保護観察制度や,〈寺院,教会,保護団体又は適当なる者に委託する〉処分等が規定された。成人の保護観察については,36年に思想犯保護観察法が施行され,治安維持法違反者に対し保護観察審査会の決議によって保護観察に付することを定めた。…

【保護観察】より

…1905年,刑の執行猶予が制度化されたが,保護観察はとり入れられず,07年の新刑法における仮出獄の要件の緩和後も,期間内の監督は警察官署にまかされていた。本来的な意味での保護観察の始まりは,22年の旧少年法が保護処分の一つとして少年保護司の観察に付すことを定めたこととされる。成人に対する保護観察は,36年の思想犯保護観察法が,治安維持法違反者を対象とする保護観察を定め,全国22ヵ所の保護観察所と保護観察審査会によって運営されたのを最初とする。…

※「保護司」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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