翻訳|migraine
頭部片側に生ずる反復性拍動性の疼痛をいうが,両側性の痛みとなることも少なくない。典型的なものでは,さまざまな眼痛,閃輝性暗点などの眼症状をはじめとする前駆症状に続いて起こり,吐き気,嘔吐を伴う。近親者に同様の症状を示すものがいることが多い。また,きちょうめんな性格の人に多い。病態としては,前駆症状は脳,網膜などの動脈の収縮と,頭痛は頭蓋外の動脈や硬膜血管の拡張と,それぞれ関連していると考えられている。またセロトニンなどの物質の病態への関与も検討されている。発作の誘因としては,疲労,ストレス,月経,低血糖をはじめチョコレートやチーズの摂取などがあげられる。症状から次のように分類する。
(1)典型的偏頭痛classic migraine 閃輝性暗点,視野欠損をはじめとする眼症状,めまい感,異常知覚などの前駆症状の後に起こり,頭痛は数時間の経過をとる。(2)普通型偏頭痛common migraine 最も多い型であり,前駆症状は明らかでないが,頭痛に先立って疲労感,胃腸障害などが数時間から数日間続くことがある。頭痛の持続時間も典型的偏頭痛より長い。(3)群発頭痛cluster headache 20~30歳代の男性に多く,頭痛発作の持続は20~90分間であり,発作期にはほぼ24時間周期で繰り返される。発作期は数週間続くが,一方で数ヵ月~数年に及ぶ長期の寛解期を有する。前頭部や頰部,眼窩(がんか)部に激しい痛みを生じるが,その際,結膜充血,流涙,鼻閉,鼻漏などを伴う。(4)片麻痺性および眼筋麻痺性頭痛hemiplegic and ophthalmoplegic migraine 若年者にみられることが多く,頭痛と反対側の半身麻痺,あるいは頭痛と同側の眼球運動麻痺がみられる。麻痺は頭痛消失後も持続することがある。
発作時の治療としては,酒石酸エルゴタミンが最も有効である。軽度のものではアセチルサリチル酸(商品名アスピリン)などの鎮痛薬も効果がある。セロトニンの拮抗薬であるメチセルジドは発作予防に効果があるが,副作用があるため日本では用いられていない。日本では発作予防のため,アミトリプチリンやβ遮断薬およびジヒドロエルゴタミンなどが用いられることが多い。精神療法が必要となることもある。
→頭痛
執筆者:楠 進
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[診断]
頭痛が頭蓋内外の器質的疾患による部分症状であるか,あるいは頭痛を主症状とする機能性の頭痛であるかの鑑別は,家族歴や既往歴を含む患者の病歴,頭痛の性状,神経学的検査により比較的容易であるが,頭痛の原因を明らかにすることはしばしば困難である。しかし片頭痛の各型と三叉(さんさ)神経痛は問診だけでほぼ診断がつく。すなわち頭痛についての問診としては以下の項目が必要である。…
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[診断]
頭痛が頭蓋内外の器質的疾患による部分症状であるか,あるいは頭痛を主症状とする機能性の頭痛であるかの鑑別は,家族歴や既往歴を含む患者の病歴,頭痛の性状,神経学的検査により比較的容易であるが,頭痛の原因を明らかにすることはしばしば困難である。しかし片頭痛の各型と三叉(さんさ)神経痛は問診だけでほぼ診断がつく。すなわち頭痛についての問診としては以下の項目が必要である。…
※「偏頭痛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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