日本大百科全書(ニッポニカ) 「鎮静薬」の意味・わかりやすい解説
鎮静薬
ちんせいやく
大脳皮質の異常な機能亢進(こうしん)による興奮状態を和らげるために用いる薬剤。鎮静剤。不眠、不安、苦悶(くもん)、疼痛(とうつう)、けいれんなどの治療に用いられる。睡眠薬の少量投与が鎮静効果を有するところから、睡眠・鎮静薬として分類される。ブロム化合物(臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カルシウム)およびカノコソウが代表的薬物であったが、現在ではほとんど用いられていない。睡眠薬のバルビツール酸系もこの目的でよく使用されたが、現在はフェノバルビタール以外はあまり用いられない。マイナートランキライザー(穏和精神安定剤)のベンゾジアゼピン系薬物その他の向精神薬が従来の鎮静薬にかわって主流となりつつある。生薬(しょうやく)ではパッシフローラエキスやその配合剤が新薬として使用されている。
[幸保文治]