成層火山,ハワイ型楯状火山などの大型の複成火山山腹に,あたかも寄生したように生じている小型火山。寄生火山parasitic volcanoという言葉も使われたが,現在では成因を含まない名称の側火山が多用される。側火山はスコリア丘,溶岩円頂丘,軽石丘,マールなど,ほとんどの場合1輪回(りんね)の噴火だけを行って生じた単成火山である。安山岩質の成層火山と溶岩円頂丘,玄武岩質成層火山とスコリア丘という本体火山と側火山の組合せが最も多い。また火山島の海岸付近では,地下水が豊富なのでマグマ-水蒸気爆発が起こりやすい。その結果マール,火山灰丘,爆発角礫(かくれき)丘などの側火山が生ずる。側火山,側火口の数はマグマの粘性が小さいほど,また本体の複成火山が大きいほど多い傾向がある。シチリア島のエトナ火山,富士山,ハワイの諸火山などの火山はそうした例である。
側噴火地点は山頂火口の下へ上昇してきたマグマが,垂直な割れ目を作っては満たしつつ放射方向に動いて山腹に達した点あるいは線を示している。つまり放射岩脈が地下で作られたことを示している。放射岩脈が方向性なく生ずれば,側火山は山腹一面に分布する。ところが,たとえば富士山の側火山は山頂を中心とする北西-南東方向の帯状域に集中が著しい。これは富士山が活動していた過去数万年間ではその方向に地下の開口割れ目が生じやすかったことを示している。
執筆者:中村 一明
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… 単成火山は一つだけでなく群をなしていることが多い。その群には,(1)側火山群や後カルデラ丘群(中央火口丘群)などのように複成火山に付随したり,その一時期を示すもの,(2)複成火山とは無関係で単成火山だけで群をなすもの,の2種がある。(2)の例は男鹿半島の一ノ目潟,二ノ目潟などの目潟群(マール群),伊豆半島東部やフランスのオーベルニュにあるスコリア丘,溶岩円頂丘,マールなどの火山群など,大陸地域や島弧の内側に多い。…
※「側火山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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