備中国(岡山県)で漉(す)かれた和紙。備中と略すこともある。備中国が古くから和紙の名産地であったことは、京都の相国寺(しょうこくじ)に伝わる日記『鹿苑日録(ろくおんにちろく)』の永禄(えいろく)9年(1566)5月7日の条に、「備中は紙の名所なり」とあることでもわかる。室町時代後期に、上房(じょうぼう)郡広瀬(高梁(たかはし)市広瀬)の柳井勘左衛門が朝廷や幕府の御用紙(ごようし)を漉く特権を与えられてからのち、明治時代に入るまでの間、長く檀紙(だんし)を生産し、柳井家を中心として漉かれた備中檀紙の名は広く知られていた。またこの地方では、そのほかにも公家(くげ)や社寺の荘園(しょうえん)でそれぞれ紙を漉き上納していたことが文献にみられ、1777年(安永6)刊の木村青竹(せいちく)編『新撰紙鑑(しんせんかみかがみ)』には、備中産の紙として檀紙類のほかに、奉書、杉原、三折、半紙、ちり紙などをあげている。
[町田誠之]
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