(読み)コツ

デジタル大辞泉 「兀」の意味・読み・例文・類語

こつ【×兀】

[ト・タル][文][形動タリ]高くそびえているさま。
「はるかに―とした岩山懸崖が見え」〈寅彦旅日記から〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「兀」の意味・読み・例文・類語

こつ【兀】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用タリ 〙 高く突き出るさま。
    1. [初出の実例]「恰も越のしら山、一夜に兀と湧出たるひとしく」(出典:俳諧・おらが春(1819))
    2. 「兀(コツ)として聳え立つ雪白の大校舎」(出典葬列(1906)〈石川啄木〉)

ごつ【兀・&JISF0B7;】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用タリ 〙 はげているさま。樹木のないさま。
    1. [初出の実例]「はげたつむりは兀(ゴツ)として」(出典:浄瑠璃新うすゆき物語(1741)上)
    2. [その他の文献]〔杜牧‐阿房宮賦〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「兀」の読み・字形・画数・意味


3画

[字音] コツ・ゴツ
[字訓] はげる・たかい

[説文解字]

[字形] 象形
頭の髪をそりおとした形。元(げん)は結髪の形。元の髪を切った形は兀で、首(こんしゆ)という。〔説文〕八下に「高くして上らかなり」と地勢をいう字とするが、下部は人の形である。首の刑を受けたものを兀者という。唐・杜牧の〔阿房宮の賦〕「蜀山兀として阿出づ」は、比喩用法である。

[訓義]
1. かみを切る、剃髪、頭がはげる。
2. たかい、たかく平らか。
3. 石山などの高くそびえるさま、ひとり寂しいさま、動かぬさま、知覚のないさま。
4. (げつ)と通じ、あしきる。

[古辞書の訓]
名義抄〕兀 シヅカニ 〔立〕兀 シヅカナリ

[声系]
〔説文〕に兀声としてなど三字を収める。(ごつ)は兀然として動かないものを、梃子(てこ)でこじ動かす意。ものをそのような角度にすることを兀という。ゆえに危高の意がある。(き)は禹のように二虫を組み合わせたもので、虫(き)の繁文とすべく、兀高の兀に従う字ではない。

[語系]
兀ngut、ngiuatは声近く、頭髪には兀、足切りにはという。また介keatも声義に通ずるところがあり、一介とは不安定な状態をいう。みな一系の語である。

[熟語]
兀刑・兀・兀兀傲兀兀兀坐兀爾兀子兀日・兀者兀首兀鷲・兀然・兀底・兀的・兀突・兀立
[下接語]
兀・傲兀・骨兀・兀・陶兀・兀・突兀・揺兀

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android