精選版 日本国語大辞典 「兀子」の意味・読み・例文・類語 ごっ‐し【兀子】 兀子〈年中行事絵巻〉〘 名詞 〙 腰掛の一種。長方形の板の四辺に脚をつけたもの。朝儀列席の官人が使用。ごし。[初出の実例]「僧綱座立二兀子一。問答者座亦各立二兀子一」(出典:延喜式(927)三八) ご‐し【兀子】 〘 名詞 〙 =ごっし(兀子)[初出の実例]「飛駅(ひえき)して京より斑幔(はんまん)と兀子(ゴシ)とをとりよせて」(出典:随筆・折たく柴の記(1716頃)中) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
日本大百科全書(ニッポニカ) 「兀子」の意味・わかりやすい解説 兀子ごっし 少し横長な4脚付きの木製腰掛。『伊呂波(いろは)字類抄』「古雑物」に公卿(くぎょう)の座とあり宮廷調度である。『延喜式(えんぎしき)』「掃部(かもり)」に清涼殿(せいりょうでん)の御斎会(ごさいえ)内論義のおり、僧綱(そうごう)たちも使った例がある。身分に応じて、上に敷く敷物が定まる。『江家次第(ごうけしだい)』巻17「東宮御元服」によれば、加冠人、親王、大臣は紫色の敷物で紫兀子に、理髪人、大・中納言(なごん)は黄兀子に座すという。このほかに黒塗り兀子、朱塗り兀子、両面兀子、縁兀子などがあり、江戸末期まで使用された。[郷家忠臣] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例