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免疫のしくみとはたらき めんえきのしくみとはたらき

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家庭医学館の解説

めんえきのしくみとはたらき【免疫のしくみとはたらき】

◎免疫とは
◎免疫応答のしくみ
◎抗体とは
◎アレルギー反応
◎自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)とは
◎膠原病(こうげんびょう)について

◎免疫(めんえき)とは
 免疫とは「病気(疫)から免(まぬが)れるためのしくみ」です。からだは免疫というしくみをもっているために、かんたんに病気にはなりません。
 生体は、自分のからだと同じものを「自己(じこ)」、異なるものを「非自己(ひじこ)」として認め、区別します。
 そして、生体は「非自己」が体内に侵入してきた場合にのみ、これに反応して、排除しようとします。この場合の「非自己」を抗原(こうげん)といいます。そして、抗原の侵入に対するこのようなからだの反応を、免疫応答(めんえきおうとう)といいます。
 万が一、「自己」であるものを「非自己」と誤って認め、それを排除しようとする免疫応答がおこると、自己免疫疾患がおこります(「自己免疫疾患とは」)。

◎免疫応答(めんえきおうとう)のしくみ
●非特異免疫(ひとくいめんえき)
 からだに細菌などの異物(いぶつ)が侵入すると、これを取り込み、消化(貪食(どんしょく))する細胞があります。このような細胞を食細胞(しょくさいぼう)といい、多核白血球(たかくはっけっきゅう)とマクロファージ大食細胞(たいしょくさいぼう))の2種があります。どちらも異物を消化・排除しようとします。
 ウイルスが感染したり、あるいは腫瘍化(しゅようか)した細胞などに対しては、ナチュラルキラー(NK)細胞と呼ばれる細胞がはたらき、これを傷害あるいは殺して排除しようとします。
 ただし、これらの反応は速やかにおこりますが、そう強力なものではありません。抗原の種類に関係なくおこる原始的な反応で、相手を選ばないので、非特異免疫とも呼ばれます。
●特異免疫(とくいめんえき)
 異物である抗原が、からだの中に入ると、まずマクロファージに取り込まれます。マクロファージは、抗原を細胞内に取り込んだのち、これをばらばらな断片にしたうえで、その情報をリンパ球に伝えます。リンパ球細胞では、その情報に基づいて、抗原とぴったりかみ合う鍵(かぎ)と鍵穴(かぎあな)のような構造を表面にもっています(抗原レセプター)。そして、断片になった抗原を識別して結合します。
 リンパ球には、T細胞とB細胞の2種類があります(図「免疫のしくみとはたらき」)。T細胞は、後述しますが、遅延型(ちえんがた)のアレルギー反応にかかわったり(感作(かんさ)T細胞)、ウイルスに感染した細胞を殺したり(キラーT細胞(さいぼう))、抗体をつくるB細胞のはたらきを強めたり弱めたりします。
 ちなみに、抗体をつくるのを助ける細胞はヘルパーT細胞、抗体をつくるのを抑える細胞はサプレッサーT細胞と呼ばれます。一方のB細胞の役目は抗体をつくることです。
 T細胞がかかわる免疫反応細胞性免疫(さいぼうせいめんえき)、B細胞がかかわる免疫反応を液性免疫(えきせいめんえき)といいますが、これらの反応は、いずれも特定の抗原に対してだけおこる特異なもの(特異免疫)であり、きわめて強力です。
 からだは、このような非特異免疫と特異免疫の2つの機構によって、外界からの異物の侵入に対抗しています。

◎抗体(こうたい)とは
 抗体というのは、免疫(めんえき)グロブリン(Ig)と呼ばれるたんぱく質のことです。そのたんぱく質の基本形は同じですが、少しずつちがった抗体があり、IgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5種類に分けることができます。
 ある特定の抗原に対してつくられた抗体は、その抗原とだけ結合し、ほかの抗原とは反応しません。その関係は、鍵と鍵穴のように厳密です。
 ですから、たとえばインフルエンザウイルスに対してできた抗体は、別のウイルスに対しては作用しません。
 また、抗体のはたらきを助ける物質があって、これを補体(ほたい)といいます。
 抗原が体内に侵入すると、まっ先にIgMタイプの抗体がつくられます。しかしIgM抗体は、すぐに体内から消えてしまいます。再び同じ抗原が侵入すると、今度はIgGタイプの抗体が、大量につくりだされます。
 このIgG抗体は、体内に長く残って、異物の除去をするためにはたらきます。
 このような現象を利用すると、感染症の診断ができます。ウイルスによる病気が疑われる場合に、ウイルスに対する抗体ができているかどうかを調べ、IgMタイプの抗体が見つかれば、ごく最近感染したとわかります。
 これに対して、IgGタイプの抗体が見つかれば、かなり前に感染したものとみなします。また、いったん特定の抗原が侵入すると、からだはこの情報を記憶しており(免疫学的記憶(めんえきがくてききおく))、再び同じ抗原が侵入すると、前よりもさらに多くの抗体をつくりだします。
 この現象はブースター効果と呼ばれていて、これを利用したのが、BCGなど、ワクチンによる予防接種です。
 IgAタイプの抗体は、涙、唾液(だえき)、気道(きどう)・消化管の粘膜(ねんまく)の表面の粘液(ねんえき)、尿などに多く含まれていて、外界からの微生物や異物の侵入に備えています。また、母乳の中にも多く含まれ、乳児への感染などを防いでいます。
 これらの抗体が、抗原と結合すると(抗原抗体反応(こうげんこうたいはんのう))、免疫複合体(めんえきふくごうたい)と呼ばれる物質になります。できた免疫複合体は、マクロファージなどの食細胞によって処理されます。
 しかし、抗原が細胞の表面に結合しているような場合には、抗体が結合しただけでは、通常の免疫複合体とちがい、食細胞は貪食できません。
 このような場合には、血液中にある補体というたんぱく質が動員され、抗原が結合している細胞の細胞膜(さいぼうまく)に穴をあけ、細胞が殺されます。また、ある場合には、細胞表面の抗原に結合した抗体をマクロファージや多核白血球が、Fcレセプターと呼ばれる分子を使って認識し、殺すこともあります。

◎アレルギー反応
 からだにとって不利になるような免疫応答を、アレルギーと呼んでいます。
 すなわち、抗原の侵入に対しておこったからだの反応が、病気をひきおこしてしまう、困った状態がアレルギー反応です。この反応は、そのおこり方のちがいから、大きくⅠ~Ⅳ型までの4つに分けられます(図「アレルギーの種類とおこり方」)。
●Ⅰ型アレルギー
 この反応は、IgE抗体によって速やかにおこるため、即時型反応(そくじがたはんのう)ともいわれています。
 この反応の代表としては、アレルギー性鼻炎(せいびえん)、じんま疹(しん)、気管支(きかんし)ぜんそく、薬剤ショックなどがあります。この場合、抗原をアレルゲン(アレルギーをおこす原因物質)とも呼びます。
 遺伝的な体質が関係しておこるアレルギー性の病気がアトピー性疾患です。
 アレルゲンが体内に侵入すると、まず、IgEタイプの抗体ができます。大量につくられたIgE抗体は、肥満細胞(ひまんさいぼう)(マスト細胞)という細胞の細胞膜の上に結合します。このような状態を(アレルゲンに)感作(かんさ)された状態、といいます。
 再びアレルゲンが侵入すると、アレルゲンは、肥満細胞上のIgE抗体に結合します。肥満細胞は細胞内に、化学伝達物質と呼ばれる、さまざまな物質(たとえばヒスタミンなど)をもっているのですが、アレルゲンが細胞表面に結合することが引き金になって、化学物質がつまったミクロの袋のような顆粒(かりゅう)を、細胞の外に放出します。
 その結果、顆粒中のヒスタミンなどが、周囲の組織にばらまかれ、その作用によって毛細血管の壁がすかすかになり、血液中の水分などが外にしみだしたり(透過性亢進(とうかせいこうしん))、平滑筋(へいかつきん)の収縮がおこります。スギ花粉(かふん)によるアレルギー性鼻炎で、鼻水、くしゃみなどの反応がおこるのはそのためです。
 ペニシリンなどの薬剤を服用した場合におこるショックも、この反応によります。この場合には、大量の化学伝達物質が放出されるため、全身の血管が広がり、血圧が低下するため、いわゆるショックとなります。
 このような急激な反応は、とくにアナフィラキシーショック(「アナフィラキシーショック」)といいます。
 ただし、これらの反応のおこりやすさには遺伝が関係しており、誰にでもおこるわけではありません。
●Ⅱ型アレルギー
 細胞や組織に対して抗体がつくられ、それによって組織が傷害される反応です。細胞の表面上にある抗原に対して抗体ができると、抗体は細胞の表面に結合し、さらに補体が動員されることによって細胞膜に穴があき、細胞は傷害されます。
 この反応によっておこる病気に、不適合輸血(ふてきごうゆけつ)、自己免疫性溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)、薬剤の服用によっておこる無顆粒球症(むかりゅうきゅうしょう)、血小板減少性紫斑病(けっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)などがあります。
●Ⅲ型アレルギー
 この反応では、抗原と抗体の結合物である免疫複合体が、大量に血液中を流れ、血管の壁や組織に沈着します。その結果、補体や好中球(こうちゅうきゅう)というリンパ球がはたらき始め、それによって細胞や組織が傷害されます。このしくみでおこる病気の代表が、全身性エリテマトーデス(「全身性エリテマトーデス(SLE/紅斑性狼瘡)」)です。
●Ⅳ型アレルギー
 この反応には、抗体は無関係で、マクロファージによって取り込まれて断片化された抗原が、T細胞を刺激する結果つくられるサイトカインという物質によっておこります。
 この反応がおこるためには一定の時間がかかるため、遅延型(ちえんがた)アレルギー反応ともいわれます。結核に感染しているかどうかを調べるツベルクリン反応は、この反応を利用したものです。
 結核菌(けっかくきん)に感染したことがある人には、結核菌に感作されたT細胞がすでにできています。このような人の皮膚に、結核菌からつくった抗原たんぱく質であるツベルクリン液を注射すると、そこにT細胞が集まり、サイトカインが放出される結果、皮膚が赤くなったり、かたくなったりするわけです。これがツベルクリン反応陽性と判定されます。
 結核菌に感染したことがない人には、感作したT細胞がありません。そのため、ツベルクリン液を注射した部位でサイトカインがつくられることがなく、皮膚反応はおこりません。これがツベルクリン反応陰性です。
 このような反応によっておこる病気としては、アレルギー性接触性皮膚炎(せっしょくせいひふえん)などが知られています。

◎自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)とは
 免疫とは、外からの異物(いぶつ)(自分のからだ以外のものという意味で、免疫学では、非自己(ひじこ)ともいう)の侵入を排除し、からだ(自己ともいう)を守るために、からだに備わっているしくみ(生体防御反応(せいたいぼうぎょはんのう))です。
 正常ならば、自己(自分のからだ)をかたちづくっているものに対して、免疫反応がおこることはありません。
 しかし、自己と非自己の区別がつかなくなり、自分自身の細胞やたんぱく質などを異物(抗原(こうげん))とみなして反応する抗体(こうたい)(自己抗体(じここうたい))やリンパ球(自己反応性(じこはんのうせい)リンパ球(きゅう))ができて、自分のからだの一部を攻撃したり、排除しようとし、その結果、さまざまな病気がおこってくることがあります。
 このように、自分自身に対する免疫反応のことを自己免疫といい、自己免疫がもとになっておこる病気を自己免疫疾患と呼びます。
●自己免疫疾患の種類
 自己免疫疾患は、大きく2種類に分けることができます。ただし、この2つのタイプが互いに重複する場合も少なくありません。
 1つは、病気のおこる場所が、特定の臓器にかぎられるもので、臓器特異的自己免疫疾患といいます。
 自己免疫性溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)、特発性血小板減少性紫斑病(とくはつせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)、慢性甲状腺炎(まんせいこうじょうせんえん)、バセドウ病、悪性貧血、重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう)、自己免疫性肝炎(かんえん)、インスリン依存性糖尿病(いぞんせいとうにょうびょう)などがこれにあたります。
 これらの病気では、それぞれの臓器にある特有のたんぱく質に対して、自己抗体ができ、直接その臓器を障害すると考えられています。
 一方、障害される臓器が1つだけではなく、全身の多くの臓器におよぶ病気を、全身性自己免疫疾患といいます。膠原病(こうげんびょう)はその代表です(「膠原病について」)。
 膠原病とまとめて呼ばれている多くの病気には、50種類以上の自己抗体が発見されています。リウマチ因子(いんし)、抗核抗体(こうかくこうたい)などが代表的な自己抗体です。
 しかし、膠原病にみられる自己抗体が障害に直接かかわるわけではなく、むしろ、自己抗体が抗原と結合した免疫複合体(めんえきふくごうたい)が全身の組織に沈着するために障害がおこると考えられています。
●自己免疫はなぜおこるか
 自己免疫がおこる原因とそのしくみについては、まだよくわかっていません。しかし、いくつかの考え方があります。
 1つは、自己のたんぱく質などで、細胞の内部などにあって免疫系にふれなかったものが、外傷などで外に出て、免疫系によって認識されて抗原になるという考え方です。
 また、なんらかの原因(感染、薬物など)で、自己のたんぱく質の構造が変化して、新しい抗原がつくられるという考え方や、外から入ってくる抗原(微生物のたんぱく質など)に対する抗体が、たまたま構造のよく似ている自己のたんぱく質を抗原と誤認する(交差反応)という考え方もあります。
 さらに、抗原の問題ではなく、抗体をつくるリンパ球や免疫反応の調節機構が異常をおこすためという考え方もあります。

◎膠原病(こうげんびょう)について
 膠原病とは、多くの臓器が障害され、全身に炎症がおこる原因不明の病気をすべてまとめていうことばです。
 1942年に、病理学者のポール・クレンペラーは、全身の結合組織(臓器などの形をつくっている線維性の組織)に共通してフィブリノイド変性(へんせい)と呼ばれる変化がおこり、多くの臓器を障害する病気を、膠原病と名づけました。病変が結合組織におこることから、結合織疾患(けつごうしきしっかん)とも呼ばれます。
 この病気がおこるもとには、自己免疫の異常があると考えられています。
 自己のたんぱく質などを抗原とみなして反応する、さまざまな抗体(自己抗体)が発見できるからです。
●膠原病の原因
 膠原病は、溶連菌(ようれんきん)という細菌の感染によっておこるリウマチ熱を除くと、いまだに原因がはっきりしません。しかし、遺伝的な素質に環境的な要因が加わって、発病するのだろうと考えられています。
 遺伝的な素質の1つに、主要組織適合抗原(しゅようそしきてきごうこうげん)(ヒトではHLAがこれにあたります)があります。とくに強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)(「強直性脊椎炎」)という病気と、HLA‐B27の関係が有名です。
 しかし、遺伝的な素質が関係するといっても、そのかかわりはたいへん弱く、メンデルの法則のように、親から子に病気が伝わることはありません。
 環境要因としては、ウイルスや細菌の感染が考えられていますが、リウマチ熱以外に特定の病原体が確認された膠原病はありません。
 紫外線、薬物、性ホルモン、妊娠・分娩(ぶんべん)などが、膠原病を誘発(ゆうはつ)したり、症状を悪化させることがあります。
●膠原病の診断
 膠原病の患者さんからは、病気ごとに、さまざまな自己抗体が見つかります。多くの自己抗体が、特定の病気と密接に関係することがわかっており、自己抗体の検査は、病気の診断、病型の分類、治療効果の判定、治療後の経過の見通しなどに役立ちます。
 しかし、どの病気も、1つの症状・検査だけでは診断は不可能で、さまざまな症状と検査を組み合わせることで、初めて診断を下すことができます。このため、それぞれの病気について診断基準がつくられ広く利用されています。
●膠原病の症状
 膠原病は、全身のさまざまな臓器に炎症がおこって障害される病気ですから、病気によって、また障害された臓器によって、いろいろな症状がおこります。発熱、倦怠感(けんたいかん)(だるさ)、体重の減少、関節痛、レイノー現象(寒いときに指先が白くなる症状)、貧血、腎障害(じんしょうがい)などは多くの膠原病に共通してよくみられます。
 また、症状は、よくなったり、悪くなったりをくり返しながら、慢性の経過をたどります。
●膠原病の治療
 治療法は、膠原病それぞれの病気によってちがいます。診断された病名、臓器の症状、症状の程度などに応じて、非ステロイド系の抗炎症薬、ステロイド薬(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)、免疫抑制薬などが使い分けられます。

出典|小学館
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