知恵蔵 「児童ポルノ規制法」の解説
児童ポルノ規制法
2004年の改定で、罰則が強化されている。
14年6月の改正では、あいまいだった定義の一部が「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」と明確化された。
また同改正によって、「児童ポルノ」の単純所持にも「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」という罰則が設けられた。スマートフォンの普及などを背景とする被害者数の増加、加えて主要7カ国で日本だけが単純所持に罰則がなく、日本は児童ポルノの一大供給国になっている、という国際社会からの批判もあった。法律の正式名称も「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」と「規制」が加わった。心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する制度の充実及び強化も打ち出されている。
単純所持の処罰の対象は、性的好奇心を満たす目的で、自己の意思によって所持するに至った者に限られており、(自主的な廃棄を促すため)施行から1年間の猶予が設けられている。電子メールの添付ファイルなどで、知らないうちに第三者から送信された場合などは適用外となるが、恣意的な捜査や誤認逮捕を不安視する声もあり、参議院の付帯決議では「捜査権の乱用防止」が盛り込まれた。なお、検討課題に挙げられていたマンガ、アニメ、CGなどは、これまで通り規制対象外のままとなった。
(大迫秀樹 フリー編集者 / 2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報