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公訴時効制度 こうそじこうせいど

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知恵蔵の解説

公訴時効制度

刑法の適用を受ける事件に関して、犯罪行為が終わってから一定の期間が過ぎると、たとえ容疑者が判明しても、起訴できなくなるという制度。時効の期間は「刑事訴訟法」に規定されている。現行法(2010年2月末時点)では、死刑に当たる罪は25年、無期懲役または無期禁固にあたる罪は15年。この他、罪の軽重に応じて、10年、7年、5年、3年と定められている。最も短いのは、拘留または科料に当たる罪で1年。ただし、国外にいる期間は進行停止、すなわち時効期間から除外される。
時効制度の存在意義としては、(1)証拠が散逸し、犯罪の立証が困難になること、(2)被害者の処罰感情が希薄になること、(3)その後に犯人が築いた社会関係を尊重すること、などが挙げられている。しかし、犯罪被害者や遺族の多くは「処罰感情の希薄化」を否定し、被害者団体は以前から時効の撤廃を強く訴えてきた。近年は、こうした被害者の心情に共感する国民の声も高まっている。また、DNA鑑定の精度向上により、長い年月を経ても真犯人を解明できる環境が整ってきたなどという意見もある。
こうした被害者団体の要望や社会的背景を受け、政府は10年度の通常国会で刑事訴訟法改正案の提出を予定。その骨子は、強盗殺人・殺人など死刑にあたる重罪の時効は廃止、その他の罪(一部を除き)は原則として時効期間を倍に延長する、というものである。なお、論議の的になっていた時効が完成した事件に対しては、訴求・適用されない方向。
一方、改正に慎重な意見も多い。公訴時効制度見直しは05年に行われ、死刑に当たる罪は15年から10年間も延長されたばかり。社会状況の急激な変化がない中では、改正の根拠が乏しく、拙速すぎるというもの。日本弁護士連合会(日弁連)も、法務省内で同改正案が検討されていた09年6月、犯罪被害者の心情に深い理解を示しながらも、犯罪被害者や遺族への「経済的・精神的な支援の具体的な施策や措置」や「初動捜査を含めての刑事警察の捜査能力の向上」こそが重要である、という趣旨の意見書を発表している。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2010年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

公訴時効制度

刑事訴訟法の規定で、犯罪行為の完了時から一定期間が過ぎれば、容疑者が判明しても起訴を許さない制度。(1)時間の経過で証拠が散逸し、真実の発見が難しくなる(2)被害者や社会の処罰感情など、社会的影響が薄れる(3)罪に問われずに一定期間が過ぎた犯人の社会的地位の安定を尊重する――などがその趣旨とされる。容疑者が国外にいる間は時効の進行が停止する。

(2010-03-07 朝日新聞 朝刊 広島1 1地方)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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