普及版 字通 「冂」の読み・字形・画数・意味


8画

(異体字)冂
2画

[字音] ケイ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(けい)。もと冂(けい)に作り、冂は外界を画して防壁とする形。土をめぐらすのでという。〔説文五下に冂の重文としてを録する。〔詩、魯頌、〕「(けいけい)たる牡馬 の野に在り」の〔伝〕に「野なり」、〔爾雅、釈地〕に「野外之れを林と謂ふ。林外之れをと謂ふ」とあり、遠郊の牧草地をいう。

[訓義]
1. 都から遠くはなれた地。
2. 牧畜などを行う地。

[古辞書の訓]
立〕 トホキ・サカヒ・ヒラキ 〔字鏡集〕 サカヒ・トホキサカヒ

[語系]
(冂・)kyueng、迥・hyuengは声義近く、に迥の意がある。は辺塞広漢の地に設けられる牧畜のところをいう。

[熟語]

[下接語]
・遠・巌・近・郊・大・野


2画

(異体字)
5画

[字音] ケイ
[字訓] さかい

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
境界の象。〔説文〕五下に「邑外之れを郊と謂ふ。郊外之れを野と謂ふ。野外之れを林と謂ふ。林外之れを冂と謂ふ。界に象るなり」とし、重文として古文をあげ、「囗(ゐ)に從ふ。國邑に象る」とし、また字形を加えている。冂は境界を設ける形で、必ずしも地の遠近に関しない。辺疆の城塞などに冂形の防塁を築くことが多く、のち遠界の意となったのであろう。金文に冂を絅衣(けいい)の絅の意に用い、また黄のように褐色の玉名に用いる。

[訓義]
1. さかい、境界。
2. 邑・郊・野・林の外の地域、辺境、遠界の地。
3. むなしい。
4. 絅に通じ、絅衣。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕 ムナシ

[部首]
〔説文〕〔玉〕に市・・央・の四字を属する。市は朿(し)(刺木)に従って上に表識をつけ、市の行われる場所を表示する字。(いん)以下の字は冂ではなく形に従い、は枕の初形。央は殃の初文で、首枷(くびかせ)を加えた形、(かく)は鳥の飛ぶことを抑止し取する形。いずれも冂の声義とは関係がない。ただ声に従うものには、冂の声義を承けるものがある。

[声系]
〔説文〕に声として迥・)・・絅など九字を収める。は〔説文〕五下に「小堂なり」とあり、斎名などに用いられるが、高・京などとともに城門の象に従う字である。絅のほかはみなの声義を承ける字。絅は金文に冂を用いる。

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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