国指定史跡ガイド 「円覚寺境内」の解説
えんがくじけいだい【円覚寺境内】
神奈川県鎌倉市山ノ内にある寺院で、臨済宗円覚寺派の大本山。1282年(弘安5)、鎌倉幕府8代執権・北条時宗(ときむね)が、禅宗を広め、元寇(げんこう)の犠牲者を追悼するため、中国僧無学祖元(仏光国師)を開山として開いた。鎌倉五山の第2位。寺号は現在地の地中から大乗経典の一つである円覚経が出土したことからとされ、山号の瑞鹿山(ずいろくさん)は、仏殿開堂の儀式のとき、法話を聞こうと白鹿が集まったのでつけられたといい、境内にはその鹿が出てきた白鹿洞(びゃくろくどう)がある。創建当初は総門・三門(山門)・仏殿・法堂・方丈が一直線に並ぶ典型的な禅宗様伽藍(がらん)配置であったが、現在は法堂は失われている。1293年(正応6)の鎌倉大地震や1374年(文中3・応安7)の大火をはじめ、近代にいたるまで寺はたびたび火災に見舞われ、1923年(大正12)の関東大震災でも仏殿などが倒壊した。15世紀の建築とされる舎利殿は、境内の奥にある塔頭正続(しょうぞく)院にあり、無学祖元の分骨を祀る柿(こけら)葺きの唐様建築で国宝に指定されている。仏殿東方の石段の上にある、北条貞時の寄進による「正安三年」(1301年)の銘をもつ高さ約2.6mの梵鐘も国宝である。総門の前にある白鷺池(びゃくろち)から石橋を含めた前庭や、夢窓疎石(むそうそせき)作庭という仏殿後方の妙香池を中心とする庭園は、1932年(昭和7)に国の史跡・名勝に指定され、境内は1967年(昭和42)に史跡に指定された。JR横須賀線北鎌倉駅から徒歩すぐ。