出合茶屋(読み)であいぢゃや

精選版 日本国語大辞典 「出合茶屋」の意味・読み・例文・類語

であい‐ぢゃや であひ‥【出合茶屋】

〘名〙 男女密会に使う茶屋待合茶屋。出合宿。出合屋。盆屋。出合。
浮世草子・好色一代男(1682)四「出合茶屋(デアヒヂャヤ)暖簾に赤手拭結び置ぬ」
※談義本・世間万病回春(1771)一「遊里の出合茶屋の参会に小指くはゆる世となれり」
[補注](1)江戸では、八丁堀代地の男色屋を第一とした。左右に路次、四面に戸口があり、二階梯子も三、四か所を設けて、密会の男女を尋ねて来る人があった時に、すぐに逃げられるようになっていた。
(2)京坂の盆屋では、盆屋の戸口を入るとすぐに二階に上る段梯子があり、客が呼ばない限り、家の者はみだりに上らず、茶や煙草盆は、男客が運んだ。また、密会がわからぬように、男女が二階へ上ったあと、履物を隠す習慣があったという〔随・守貞漫稿‐一九〕。

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デジタル大辞泉 「出合茶屋」の意味・読み・例文・類語

であい‐ぢゃや〔であひ‐〕【出合(い)茶屋】

男女が密会に利用する茶屋。待合茶屋。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「出合茶屋」の意味・わかりやすい解説

出合茶屋
であいぢゃや

男女が密会に利用した貸席の江戸用語。京坂では盆屋(ぼんや)といい、料金は江戸より安いかわりに、酒肴(しゅこう)を出さないなどの差があった。現代の待合やラブホテルに相当する。江戸では上野の不忍(しのばず)池畔や八丁堀代地にあったものが有名だが、陰間(かげま)茶屋や船宿なども利用された。取締りなどに備えて、客席を二階に設け、出入口を二か所以上にするなどの用意があった。

[原島陽一]

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世界大百科事典(旧版)内の出合茶屋の言及

【貸座敷】より

…会合などのために有料で部屋を貸す貸席の意であるが,江戸中期以後は男女の密会のために座敷を提供するのを業とする家の称となり,出合(であい)茶屋,陰間(かげま)茶屋の別称として用いられた。それが1872年(明治5)の娼妓(しようぎ)解放令後は,明治政府による公娼遊郭制度下の遊女屋の公式名称となった。…

【茶屋】より

…徳川幕府は茶屋や茶屋女を取り締まり,延宝(1673‐81)以後おもに数量規制で対処したが,実効は薄かった。料理茶屋の多くは貸席的性格をもっていたが,その中から貸席専業の待合茶屋,席貸(せきがし)が現れ,さらに男女の密会を専門とする出合茶屋(または盆屋(ぼんや))が分岐した。遊郭には編笠茶屋,引手茶屋があり,茶屋と略称されることがあった。…

※「出合茶屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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