出雲寺和泉掾(2代)(読み)いずもじ・いずみのじょう

朝日日本歴史人物事典 「出雲寺和泉掾(2代)」の解説

出雲寺和泉掾(2代)

没年:宝永1.9.14(1704.10.12)
生年:生年不詳
江戸時代初期に創業し,明治まで続いた書肆の2代目。名は時元(退隠後白水改名)。林姓。松柏堂と号す。林羅山の縁者と伝えるが未詳。出雲寺の家名は創業時の地名に拠るという。京都今出川に開業した初代元真(生年不詳~1631)は和泉掾の官名を許され,以後代々これを継ぐ。時元のとき,江戸日本橋1丁目に出店。御書物師を命ぜられ,代々幕府御用を務める。白水は京より写本類を持ちきたり,林鵞峯の『本朝通鑑』執筆や水戸家修史事業に力があったという。書肆として東へ文化を伝える役割を果たしたといえる。 8代からは京店と江戸店とに分家し,京店では,7代以来文治郎を称した。各々数度の店舗移動後,ともに明治まで続いた。漢学,有職書,歌書,『白氏文集』『源氏物語』など和漢古典を中心に出版したほか,『武鑑』株の所持で知られる。書肆としての格式第1位の老舗である。<参考文献>宗政五十緒『近世京都出版文化の研究

(安永美恵)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「出雲寺和泉掾(2代)」の解説

出雲寺和泉掾(2代) いずもじ-いずみのじょう

?-1704 江戸時代前期の本屋,版元
明暦3年(1657)京都の書店をつぎ,江戸日本橋に支店をかまえ,幕府の御書物師となる。武家名鑑である武鑑を刊行,須原屋茂兵衛(すはらや-もへえ)の独占をやぶった。宝永元年9月14日死去。8代からは京都店と江戸店にわかれ,前者は昭和,後者は明治までつづいた。姓は林。名は時元,のち白水。号は松栢(柏)堂。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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