分付(読み)ぶんぷ

精選版 日本国語大辞典 「分付」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐ぷ【分付】

〘名〙
① 分けて与えること。負担させること。
※十善法語(1775)五「この類天より分付せるまことのたのしみといふべし」 〔魏志‐鮮卑伝〕
令制で、新旧役人が交替するとき、前任者が後任者に事務を引継ぐこと。
続日本紀‐天平宝字二年(758)九月丁丑「専当官人交替之日、並相分付。然後放還。但今、令条雖分付之文、律内無淹滞之罪
③ (中国近世語から) 命令すること。いいつけること。
※通俗酔菩提全伝(1759)三「太尉分付(フンフ)(〈注〉イイツケ)して三担を送て済顛と共に寺に送去しむ」

わけ‐つ・ける【分付】

〘他カ下一〙 わけつ・く 〘他カ下二〙 義務責任などを、分割して負担させる。割り当てる。〔文明本節用集(室町中)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「分付」の意味・わかりやすい解説

分付
ぶんづけ

検地帳名請人(なうけにん)が「何々分」と肩書きされた場合の記載様式または身分関係。戦国時代以降の検地帳のうちには、まれに「何々分」と肩書きされた名請人がみられる。この場合、何々分の何々を分付主(ぶんづけぬし)、名請人を分付百姓とよび、後者前者分家か下人などで隷属関係にある。また田畑一筆の名請人がA分B作となっている場合も、Aが分付主、Bが分付百姓で同様の隷属関係にある。この分付関係は年代とともに減少し、消滅する傾向にあった。なお他村に耕地をもつ場合、分付関係で表示されることもある。

宮川 満]

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普及版 字通 「分付」の読み・字形・画数・意味

【分付】ぶんぷ

割当て。

字通「分」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分付」の意味・わかりやすい解説

分付
ぶんづけ

分付百姓」のページをご覧ください。

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