前山寺(読み)ぜんさんじ

日本歴史地名大系 「前山寺」の解説

前山寺
ぜんさんじ

[現在地名]上田市大字前山 東前山

東前山ひがしまえやま南方山麓にある。真言宗智山派本尊大日如来。寺伝によると、弘仁年中(八一〇―八二四)創立。中興開山は長秀で大檀越は福沢氏。二世裕俊の時下野国足利鶏足寺末となり、貞享年中(一六八四―八八)一九世俊裕鶏足寺を離末して京都智積院末となる。なお真言宗新義派小県ちいさがた郡常法談林所と称し、かつて筑摩・埴科・小県にわたって末寺四〇余の寺があったが廃合離末して一一ヵ寺となったという(小県郡史・長野県町村誌)

同寺所轄の岩屋堂は前山寺の南西弘法こうぼう(別名独鈷山)にあり、本尊弘法大師。弘仁年中空海護摩修行の霊場と伝え、おそらく平安時代からこの岩屋堂は神戸ごうど川の水源として信仰の対象となり、それが前山寺として発達したものであろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の前山寺の言及

【栄山寺】より

…719年(養老3)に藤原武智麻呂が創建したと伝える。もと前山(さきやま)寺と称したが,10世紀後半ころには栄山寺とよばれるに至った。武智麻呂の次男の仲麻呂は763年(天平宝字7)ころ八角円堂を創建,仏典の整備もはかった。…

※「前山寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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