前腎(読み)ゼンジン

デジタル大辞泉 「前腎」の意味・読み・例文・類語

ぜん‐じん【前腎】

脊椎動物泌尿器系発生において最初に、最前部に現れる腎臓円口類では成長後もそのまま働くが、魚類両生類では幼生期まで機能し、爬虫はちゅう類・鳥類哺乳類では痕跡的に形成されるだけで、中腎または後腎ができる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「前腎」の意味・わかりやすい解説

前腎
ぜんじん
pronephros

排出器の一つ。脊椎動物の排出器発生過程中,最初に生じ,円口類のホソヌタウナギでは終生働くが,魚類と両生類では胚ないし幼生期に働き,のち退化して中腎と置換される。爬虫類,鳥類,哺乳類では,痕跡的に生じ,退化後,中腎,次いで後腎に取って代わられる。中胚葉から分節した腎節に由来,体腔前方に左右対をなして平行に走る前腎細管から成り立ち,管の一端腎口として体腔に開き,他端は前腎輸管を経て排出腔につながる。 (→排泄 )

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「前腎」の意味・わかりやすい解説

前腎
ぜんじん

すべての脊椎(せきつい)動物の胚(はい)にみられる腎臓で、発生上最初に、かつ最前部に出現するものをいう。円口類のヌタウナギや二、三の硬骨魚類では終生腎臓として働くが、他の脊椎動物では退化し、中腎または後腎ができる。前腎の主体は前腎細管で、その内側端は直接体腔(たいこう)に開口する。開口部は腎口とよばれ、繊毛をもつ。腎口と、これに相対して体腔中に突出した毛細血管よりなる糸球体とで腎小体を形成する。前腎細管の外側端は合して集合管を形成し、前腎輸管、排出口に続く。

[内堀雅行]

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世界大百科事典(旧版)内の前腎の言及

【腎臓】より

…腎臓は脊椎動物に共通する排出器官で,老廃物,おもに窒素代謝産物の体外への放出がその主要な働きであるが,体液の浸透圧調節のための水分の排出,体液中の余剰成分の排出,体液を一定のpHに保つためアルカリ性または酸性物質の排出,有害あるいは不要物質の排出などの機能ももっており,これらの諸作用は互いに関連し合っている。 腎臓は腎管nephridiumに由来したものと考えられ,発生上の順序や位置から前腎,中腎および後腎に分けられる(図1)。最初に現れる前腎pronephrosは漏斗状となって体腔に開き,腎臓の原始型とみられる。…

※「前腎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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