日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
医薬基盤・健康・栄養研究所
いやくきばんけんこうえいようけんきゅうじょ
医薬品、医療機器、薬用植物、その他の生物資源の開発に関する研究、国民の健康の保持・増進に関する調査・研究等を行う厚生労働省所管の国立研究開発法人(独立行政法人)。英語名はNational Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition、略称はNIBIOHN。「国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所法」(平成16年法律第135号)を根拠法とする。国立医薬品食品衛生研究所大阪支所をおもな母体とし、国立感染症研究所と独立行政法人医薬品医療機器総合機構それぞれの組織の一部が統合して2005年(平成17)に創設された独立行政法人医薬基盤研究所と、1920年(大正9)に内務省に創設された栄養研究所を母体とする独立行政法人国立健康・栄養研究所とを統合して2015年4月に設立された。本部は大阪府茨木(いばらき)市彩都(さいと)あさぎ。
医薬品などに関する専門性をもつ医薬基盤研究所(大阪府茨木市)と食品・栄養などに関する専門性をもつ国立健康・栄養研究所(東京都新宿区戸山)からなり、(1)基盤的技術の研究および創薬支援、(2)生物資源に係る研究および創薬支援、(3)医薬品等の開発振興、(4)国民の健康の保持および増進に関する調査・研究、(5)国民の栄養その他国民の食生活の調査・研究、(6)食品についての栄養生理学上の試験などを業務としている。
医薬基盤研究所は、薬用植物の収集・保存・栽培・育種に必要な技術や、化学的・生物学的評価に関する研究開発を行う薬用植物資源研究センター(北海道名寄(なよろ)市、茨城県つくば市、鹿児島県中種子(なかたね)町)、サル類を用いた医療研究、研究資源としてのサル類の繁殖・育成の研究などを行う霊長類医科学研究センター(茨城県つくば市)、培養資源研究などを行う泉南(せんなん)資源研究施設(大阪府泉南市)の拠点をもつ。
国立健康・栄養研究所では「日本人の健康寿命延伸に資する身体活動と栄養の相互作用に関する研究」、「日本人の食生活の多様化と健康への影響および食生活の改善施策に関する研究」、「健康食品を対象とした有効性評価および健康影響評価に関する調査研究」を重点研究とし、ほかに国民健康・栄養調査、特別用途食品等の収去試験(抜き取り調査)や許可試験に関する業務を行っている。
[編集部 2017年6月20日]