ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「千国街道」の意味・わかりやすい解説
千国街道
ちくにかいどう
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長野県の松本市から大町市を経て、新潟県糸魚川(いといがわ)市に至る近世の街道。糸魚川街道、松本街道ともいう。糸魚川方面から塩を中心に海産物を松本や大町など信州の内陸地へ輸送する道として重要で、塩の道ともよばれた。糸魚川から姫川の険しい谷をさかのぼり、白馬(しろうま)岳山麓(ろく)から佐野坂峠を越え、青木、中綱(なかづな)、木崎の仁科(にしな)三湖の西岸を経て大町に至った。白馬山麓の千国集落に松本藩の番所があり、この集落を通ったことから千国街道の名がつけられた。塩倉、塩を運んだ牛や牛方が泊まった牛宿が残り、石仏群もあり、大町以北は遊歩道として整備されている。白馬山麓の自然美とともに、近年観光地として注目されている。
[小林寛義]
…また木崎湖の水は高瀬川水系の農具川となって流出し,灌漑に用いられている。湖に沿ってかつて〈塩の道〉と呼ばれた千国(ちくに)街道(糸魚川街道)が走り,沿道には石仏が多く残っている。またJR大糸線と国道148号線が通り,観光には便がよい。…
…現在,水系にある合計19の発電所から最大出力約23万kW(1997)の電力が生み出され,下流部の糸魚川市や青海(おうみ)町にセメントなどの工業を成立させる要因となっている。姫川の流路に沿って走る国道148号線は,近世には千国(ちくに)街道(糸魚川街道)と呼ばれた重要な交通路で,日本海側から松本盆地まで,塩や〈糸魚川ブリ〉などの生活物資の輸送に用いられた。 中流部の平岩と小滝の間は姫川渓谷と呼ばれる景勝地で,春から秋にかけてハイカーを多く集める。…
※「千国街道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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